静脈栄養輸液を投与した未熟児におけるアルミニウム神経毒性
ALUMINUM NEUROTOXICITY IN PRETERM INFANTS RECEIVING INTRAVENOUS-FEEDING SOLUTIONS
N.J. BISHOP, R. MORLEY, J.P. DAY, AND A. LUCAS
アルミニウムは,市販の静脈栄養輸液の汚染物質であり,神経毒性を有する可能性がある.静脈内アルミニウムへの周産期曝露が,未熟児の神経学的発達に及ぼす影響を調査した.
在胎週数 34 週未満,出生体重 1,850 g 未満であり,経腸栄養が開始可能になるまで静脈栄養輸液を必要とした未熟児 227 人を,標準静脈栄養輸液,または特別組成のアルミニウム除去静脈栄養輸液に無作為に割り付けた.検査を行いえた生存児 182 人の神経学的発達を,ベイリー乳幼児発達検査を用いて生後 18 ヵ月時に評価した.
標準栄養輸液を投与した 90 人では,ベイリー精神発達指数の平均値(±SD)が 95±22 であったのに対し,アルミニウム除去輸液を投与した 92 人では 98±20 であった(p = 0.39).静脈栄養輸液の投与期間が中央値を超えていて,神経運動障害を認めなかった児について計画していたサブグループ解析では,標準輸液を投与した 39 人,アルミニウム除去輸液を投与した 41 人のベイリー精神発達指数の平均値は,それぞれ 92±20,102±17 であった(p = 0.02).前者では,精神発達指数が 85 未満である割合が有意に高く(39% 対 後者 17%;p = 0.03),その後の教育問題のリスクが増加した.神経運動障害を認めなかった 157 人全員について,アルミニウム曝露の増加は精神発達指数の低下と関連し(p = 0.03),標準輸液を投与した児では,経静脈栄養 1 日あたり補正指数が 1 ポイント低下した.
未熟児では,アルミニウムが含まれる静脈栄養輸液の長期投与は,神経学的発達の障害と関連する.