冠動脈ステント留置後の再狭窄を防止するためのカテーテルに基づく放射線療法
CATHETER-BASED RADIOTHERAPY TO INHIBIT RESTENOSIS AFTER CORONARY STENTING
P.S. TEIRSTEIN AND OTHERS
冠動脈再狭窄の動物モデルでは,冠動脈内放射線療法により,再狭窄の一要素である内膜肥厚が減少することが示されている.われわれは,以前に再狭窄の既往暦がある患者の冠動脈再狭窄を減少させるため,カテーテルに基づく冠動脈内ガンマ線照射をステント留置に加えることの安全性および有効性を検討した.
必要に応じて冠動脈ステントを留置し,バルーン血管拡張術を受けた再狭窄患者を,その後無作為割付けして,イリジウム-192 によるカテーテルに基づく放射線照射またはプラセボ照射を行った.定量的冠動脈造影および血管内超音波測定を 6 ヵ月目に実施して,臨床追跡調査を行った.
患者 55 人が登録した; 26 人をイリジウム-192 群に,そして 29 人をプラセボ群に割付した.血管造影検査を患者 53 人(96%)に対し,平均(±SD)6.7±2.2 ヵ月目に行った.追跡時の平均最小血管内径は,プラセボ群よりイリジウム-192 群で大きかった(2.43±0.78 mm 対 1.85±0.89 mm,p = 0.02).晩発性の内径の減少は,イリジウム-192 群ではプラセボ群より有意に少なかった(0.38±1.06 mm 対 1.03±0.97 mm,p = 0.03).血管造影により確認した再狭窄(追跡時に血管内径の 50%以上の狭窄)はイリジウム-192 群の患者の 17%に起り,これに対し,プラセボ群では患者の 54%に起った(p = 0.01).治療による明確な合併症はなかった.
以前に冠動脈が再狭窄した患者に関するこの予備的な,短期試験では,冠動脈ステントとそれに続くカテーテルに基づく冠血管内放射線療法は,その後の再狭窄発生率を実質的に減少させる.