January 30, 1997 Vol. 336 No. 5
小児急性リンパ芽球性白血病の寛解期における残存白血病の測定
MEASUREMENT OF RESIDUAL LEUKEMIA DURING REMISSION IN CHILDHOOD ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA
W.M. ROBERTS AND OTHERS
B 前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の完全寛解は,染色した骨髄塗抹標本の光学顕微鏡検査においてリンパ芽球がほとんど存在しないこととこれまで定義されてきたが,寛解期の患者には,なお 1010 個もの白血病細胞が潜伏している.治療の転帰と,残存白血病の顕微鏡で検出できないレベルの所見とのあいだに関連があるのかどうかを検討した.
正常な骨髄単核球細胞 20 万個中 1 個の生存白血病細胞を検出できる定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)測定法とクローン原性芽球コロニー法を用いて,最初の臨床的寛解期にある患児の前向き試験を実施した.24 例の骨髄標本を 5 年間連続的に評価し,その結果を臨床的転帰と比較した.
治療完了後 2~35 ヵ月のあいだに 7 例が再発し,17 例は寛解が持続していた.残存白血病細胞 DNA レベルは,再発群と寛解持続群とのあいだで有意に異なっていた(p<0.001;正常な骨髄細胞 DNA に対する白血病細胞 DNA の平均対数変換率の差に関する 95%信頼区間,0.38~1.28).自己回帰分析により,再発した個々の患児の傾向を特定した.17 例では寛解が持続していたにもかかわらず,残存白血病を示す所見が PCR 検査で 15 例に検出され,PCR と芽球コロニー法の双方では 7 例に検出された.
残存白血病の分子的徴候は,寛解期にある ALL の患児の化学療法中止後 35 ヵ月まで持続しうる.このことは,すべての白血病細胞の根絶が,必ずしも治癒の必要条件ではない可能性を示唆する.