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February 27, 1997 Vol. 336 No. 9

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低酸素性呼吸不全の満期出産乳児およびほぼ満期出産乳児における酸化窒素吸入
INHALED NITRIC OXIDE IN FULL-TERM AND NEARLY FULL-TERM INFANTS WITH HYPOXIC RESPIRATORY FAILURE

THE NEONATAL INHALED NITRIC OXIDE STUDY GROUP

背景

酸化窒素が肺動脈血管拡張剤であることを示唆する研究により,肺高血圧症新生児に対し,これまで酸化窒素吸入による治療が行われていた.われわれは,無作為多施設比較臨床試験を実施して,酸化窒素吸入が低酸素性呼吸不全乳児における死亡率を低下させるか,または膜型人工肺の利用度を減少させるか否かを明らかにした.

方 法

妊娠 34 週以降に生まれ,14 日齢以下で,構造的心疾患を有せず,そして補助機械呼吸を必要とし,2 回測定時の酸素飽和指数が 25 以上である乳児を試験適格とした.乳児を無作為割付けして,濃度 20 ppm の酸化窒素または 100%酸素(対照として)を吸入させた.動脈酸素分圧(PaO2)が 30 分後に 20 mmHg 以下だけ増加した新生児について,80 ppm の酸化窒素または対照ガスに対する反応の有無を調べた.

結 果

対照群の乳児 121 人および酸化窒素群の 114 人のベースライン臨床特徴は同様であった.対照群の 64%および酸化窒素群の 46%が 120 日以内に死亡,もしくは膜型人工肺による治療を行った(p = 0.006).対照群の 17%および酸化窒素群の 14%が死亡したが(p は有意差なし),酸化窒素群では膜型人工肺による治療を受けた乳児数が有意に少なかった(39% 対 54%,p = 0.014).酸化窒素群では PaO2 が有意に大きく改善し(平均 [±SD] 増加,58.2±85.2 mmHg に対し,対照群では 9.7±51.7 mmHg;p<0.001),酸素飽和指数が有意に改善した(14.1±21.1 の減少に対し,対照群では 0.8±21.1 の増加;p<0.001).毒性のために乳児への使用を中止した試験ガスはなかった.

結 論

低酸素性呼吸不全で危篤状態の乳児では,酸化窒素療法は膜型人工肺の利用度を減少させるが,死亡率に対して明確な作用を示さなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 597 - 604. )