February 27, 1997 Vol. 336 No. 9
ミオパシー患者におけるサルコグリカン遺伝子の変異
MUTATIONS IN THE SARCOGLYCAN GENES IN PATIENTS WITH MYOPATHY
D.J. DUGGAN, J.R. GOROSPE, M. FANIN, E.P. HOFFMAN, AND C. ANGELINI
常染色体劣性肢帯筋ジストロフィー患者の中には,サルコグリカン蛋白(α-,β-,γ-,δ-サルコグリカン)をコードする遺伝子に変異を示す患者がいる.サルコグリカン遺伝子変異の発生率,そして臨床的特徴と遺伝子型との関連を明らかにするために,われわれはミオパシー患者,数百人を調べた.
α-サルコグリカンに対する抗体を用いて,正常ジストロフィン遺伝子(X 連鎖筋ジストロフィーではしばしば欠失している遺伝子)を有するミオパシー患者 556 人の筋生検標本を染色した.免疫染色により生検標本が α-サルコグリカン欠損を示す患者に対し,筋 RNA の逆転写,一重鎖構造多形を含む解析,そして塩基配列決定を用いて,α-,β-,γ-サルコグリカン遺伝子の変異の有無を調べた.
筋生検標本の免疫染色により,α-サルコグリカン量は,患者 556 人中 54 人(10%)において減少していることがわかった;このうち 25 人では α-サルコグリカンが検出されなかった.54 人中 50 人に実施したサルコグリカン遺伝子変異に関するスクリーニングにより,患者 29 人(58%)に変異を認めた:17 人(34%)は α-サルコグリカン遺伝子に変異を有し,8 人(16%)は β-サルコグリカン遺伝子に変異を有し,4 人(8%)が γ-サルコグリカン遺伝子に変異を有した.患者 21 人(42% ) には変異を認めなかった.サルコグリカン遺伝子変異の保有率は,幼少期発症型重度(Duchenne 様)筋ジストロフィー患者でもっとも高かった(患者 83 人中 18 人,22%);遅発型の近位(肢帯)筋ジストロフィー患者における保有率は 6%であった(患者 180 人中 11 人).
サルコグリカン蛋白をコードする遺伝子の欠損は,正常ジストロフィンを有する Duchenne 様および肢帯筋ジストロフィー患者に限られ,これらの患者の 11%に起る.