February 27, 1997 Vol. 336 No. 9
閉経後女性における骨量と乳癌のリスク
BONE MASS AND THE RISK OF BREAST CANCER AMONG POSTMENOPAUSAL WOMEN
Y. ZHANG AND OTHERS
最近の研究により,ある時点のみで評価した血清中エストロゲン濃度と乳癌のリスクとのあいだに直接の関係があることが示されたが,より長期間にわたって繰り返し評価したエストロゲン濃度を乳癌のリスクと結びつける証拠はない.骨量は,女性のエストロゲンの累積的効果のマーカーとして提案されてきた.したがって,われわれは骨量と乳癌の発生率との関係を調べた.
1967 年から 1970 年のあいだに,当時 47 歳から 80 歳で,乳癌の既往のない女性 1,373 人が,フラミンガム試験において手の背腹放射線撮影を受けた.われわれは,放射線写真測定法を用いて,各女性の第二中手骨の皮質幅を測定した.参加者を 1993 年末まで追跡調査した.乳癌の発生症例はすべて病理報告書によって確認した.Cox 比例危険モデルを用いて,中手骨量と閉経後乳癌のリスクとの関連を調べた.
閉経後乳癌は被験者 91 人に発現した.1,000 人-年あたりの発生率は,中手骨量の年齢特異的な最低四分位の女性の 2.0 から,第二,第三,そして最高四分位の女性でそれぞれ,2.6,2.7,そして 7.0 へと増加した.年齢とその他の可能性のある交絡因子で補正後は,乳癌のリスク発生比は,最低四分位から最高四分位にかけてそれぞれ,1.0,1.3,1.3 および 3.5 であった(傾向に関する p<0.001).
骨量の最高四分位の女性では,最低四分位の女性より閉経後乳癌のリスクが高い.この関係の基礎となるメカニズムはわからないが,エストロゲンの累積的効果がその一因となっている可能性がある.