March 13, 1997 Vol. 336 No. 11
米国における急性非 A–E 型肝炎と G 型肝炎ウイルス感染の役割
ACUTE NON-A–E HEPATITIS IN THE UNITED STATES AND THE ROLE OF HEPATITIS G VIRUS INFECTION
M.J. ALTER AND OTHERS
新しく発見された G 型肝炎ウイルス(HGV)と,急性および慢性ウイルス性肝炎の原因および臨床経過との関係についてはほとんどわかっていない.
われわれは,米国の 4 郡において,1985~1986 年または 1991~1995 年のあいだに急性疾患を発症した患者を急性ウイルス性肝炎患者に関する調査研究から選択した.ポリメラーゼ連鎖反応によって血清サンプルの HGV RNA の有無を検査した.
HGV RNA は,非 A–E 型肝炎と診断された患者では 45 人中 4 人(9%),C 型肝炎患者では 116 人中 23 人(20%),A 型肝炎患者では 100 人中 25 人(25%),そして B 型肝炎患者では 100 人中 32 人(32%)に検出された(非 A–E 型肝炎または C 型肝炎と,B 型肝炎との比較について p<0.05).急性疾患の臨床的特徴は,HGV 単独感染でも,HGV 感染の有無にかかわらず A 型,B 型または C 型肝炎患者でも同様であった.1~9 年の追跡調査期間中に,HGV 単独感染患者では慢性肝炎に移行したものはなかったが,75%の患者が HGV RNA に関して一貫して陽性を示し,C 型肝炎と HGV 感染を併発した患者では持続的な陽性者は 87%であった.慢性肝炎の発生率は,C 型肝炎単独患者(60%)と C 型肝炎と HGV 感染症を併発した患者(61%)と同程度であった.
今回の調査研究から得られた証拠は,HGV が非 A–E 型肝炎の病因であることを示唆するものではない.持続的 HGV 感染は一般的にみられるが,これが慢性疾患に移行することはなく,A,B,または C 型肝炎患者の臨床経過にも影響を及ぼさなかった.