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March 13, 1997 Vol. 336 No. 11

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輸血による G 型肝炎ウイルス感染の発生率とその肝疾患との関係
THE INCIDENCE OF TRANSFUSION - ASSOCIATED HEPATITIS G VIRUS INFECTION AND ITS RELATION TO LIVER DISEASE

H.J. ALTER AND OTHERS

背景

輸血により感染した G 型肝炎ウイルス(HGV)の役割およびその肝疾患との関係は,あまり理解されていない.

方 法

1972~1995 年のあいだに,輸血受血者 357 人,輸血経験のない対照者 157 人,無作為選択ボランティア供血者 500 人,そして HGV 感染患者に提供した血液の供血者 230 人から採取した血清サンプルを,定性的および定量的ポリメラーゼ連鎖反応によって,HGV RNA の有無を検査した.輸血により非 A 非 B 型肝炎を発症した輸血受血者 81 人中 79 人から,輸血前および輸血後に連続的に採取した血清を検査に使用した.

結 果

輸血による肝炎患者 79 人中,63 人(80%)が C 型肝炎ウイルス(HCV)関連感染症で,3 人はすでに HCV を有していたが,その急性肝炎の原因は特定できなかった:残る患者 13 人中 3 人は急性 HGV 感染症,10 人は特定できない原因による感染症であった.調べた HCV 感染患者 63 人中 6 人(10%)は HGV にも感染していた.HGV 単独感染患者 3 人は軽度の肝炎であった(平均最大アラニンアミノトランスフェラーゼ濃度,198 U/L;黄疸を示した患者はなかった);アラニンアミノトランスフェラーゼ濃度と HGV RNA 濃度との相関はあまりなかった.HCV と HGV の同時感染は HCV 単独の感染症より重症でなく;アラニンアミノトランスフェラーゼ値は HCV RNA 濃度と平行したが,HGV RNA 濃度とは平行しなかった.輸血受血者 357 人中 35 人が HGV 感染症であった;HGV を単独のウイルスマーカーとして肝炎を起したのは 3 人のみであった.対照者では 157 人中 1 人,無作為選択供血者では 500 人中 7 人(1.4%)に,検出可能量の HGV RNA を認めた.輸血受血者が輸血後に急性 HGV 感染症を発症し,しかもその供血者全員のサンプルを検査できた 8 症例すべてにおいて,1 人以上の HGV 陽性供血者を確認した.

結 論

HGV はボランティア供血者のグループの中では一般的で,輸血によって伝播しうる.ほとんどの HGV 感染症が肝炎に関連しなかった.HGV は共存する HCV 感染症の経過を悪化させなかった.HGV と肝炎との因果関係は得られなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 747 - 54. )