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January 9, 1997 Vol. 336 No. 2

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人工妊娠中絶と乳癌のリスク
INDUCED ABORTION AND THE RISK OF BREAST CANCER

M. MELBYE AND OTHERS

背景

妊娠の中断は,乳腺細胞が分化の後期保護作用なく増殖しうるため,女性の乳癌のリスクを増加させる可能性があるという仮説がある.

方 法

1935 年 4 月 1 日~1978 年 3 月 31 日生まれのすべてのデンマーク人女性から成る,経産および生命状態に関する情報を伴った,人口に基づくコホートを確立した.人工妊娠中絶に関する国内登録(the National Registry of Induced Abortions)と関連付けることで,これらの女性における人工妊娠中絶の回数および日付に関する情報を,各中絶児の在胎期間に関する情報と結び付けた.デンマーク癌登録(the Danish Cancer Registry)と関連付けることで,すべての乳癌新規症例を同定した.

結 果

女性 150 万人(2,850 万人年)のコホートにおいて,280,965 人における 370,715 回の人工妊娠中絶(270 万人年)と,乳癌女性 10,246 人を同定した.既知の危険因子に関して補正すると,人工妊娠中絶は乳癌のリスクの増加に関連しなかった(相対リスク,1.00;95%信頼区間,0.94~1.06).中絶時の年齢,経産,中絶からの経過時間,乳癌診断時の年齢に従って定義したサブグループにおいても,リスクの増加を認めなかった.乳癌の相対リスクは,もっとも最近の人工妊娠中絶時の胎児の在胎期間が長いほど増加した:<7 週,0.81(95%信頼区間,0.58~1.13);>12 週,1.38(95%信頼区間,1.00~1.90)(基準カテゴリー,9~10 週).

結 論

人工妊娠中絶は,乳癌のリスクに対して総体的な作用を及ぼさない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 81 - 5. )