October 23, 1997 Vol. 337 No. 17
ベネズエラの乳児および幼児におけるアカゲザルロタウイルスに基づく 4 価ワクチンの有効性
EFFICACY OF THE RHESUS ROTAVIRUS–BASED QUADRIVALENT VACCINE IN INFANTS AND YOUNG CHILDREN IN VENEZUELA
I. PÉEREZ-SCHAEL AND OTHERS
ロタウイルスは,世界中の乳児および幼児における重症の下痢の主な病因ウイルスとして知られている.アカゲザルロタウイルスに基づく 4 価ワクチンは,先進国では重症の下痢の予防に非常に有効であるが,開発途上国ではその有効性はそれほど強くない.したがって,われわれは,ベネズエラにおいて地域試験を実施して,脱水を伴う下痢に対するワクチンの有効性を評価した.
この無作為二重盲検プラセボ対照臨床試験において,乳児 2,207 人に対し,4 価ロタウイルスワクチン(4×105 プラーク形成単位/投与量)またはプラセボを,生後約 2,3,および 4 ヵ月の時に 3 回経口投与した.約 19~20 ヵ月の受動的調査のあいだに,病院で胃腸炎の有無を評価した.
ワクチンは安全であったが,ワクチン接種乳児の 15%が初回投与後 6 日間に発熱 (直腸温,≧ 38.1℃) を起したのに対し,対照群では 7%であった(p < 0.001).しかし,ワクチンはロタウイルスによって引き起される重症の下痢を 88%防ぎ,そして脱水を 75%防ぎ,入院を 70%減少させた.全体として,ロタウイルスによる下痢の初回発症に対するワクチンの有効性は 48%であった.ワクチンウイルスの水平伝播は,ワクチン接種者の 15%およびロタウイルス陽性下痢を示すプラセボ接種者の 13%に起った.
開発途上国での本試験において,4 価アカゲザルロタウイルスに基づくワクチンは,ロタウイルスによって引き起される重症の下痢性疾患に対して高レベルの保護作用を示した.