October 23, 1997 Vol. 337 No. 17
完全に切除した食道癌患者のリンパ節における免疫組織化学的に同定可能な腫瘍細胞の予後的価値
PROGNOSTIC VALUE OF IMMUNOHISTOCHEMICALLY IDENTIFIABLE TUMOR CELLS IN LYMPH NODES OF COMPLETELY RESECTED ESOPHAGEAL CANCER PATIENTS
J.R. IZBICKI AND OTHERS
現在の癌進行期診断の方法では,しばしばリンパ節における少数の腫瘍細胞を検出できないことがある.これらの少数の細胞から転移性再発が起る可能性がある.
われわれは,根治的食道全摘出手術を受け,明白な転移を示さない食道癌患者 68 人のリンパ節 1,308 個を調べた.患者 68 人から得たリンパ節 399 個は,通常の組織病理学的分析では腫瘍を認めず,これらのリンパ節についてさらにモノクローナル抗上皮細胞抗体 Ber-EP4 による免疫組織化的分析によって散在する腫瘍細胞を調べた.この抗体は,癌を有しない対照患者 24 人のリンパ節を染色しなかった.
“腫瘍なし”リンパ節 399 個の中で,患者 68 人中 42 人から得た 67 個(17%)が,Ber-EP4 陽性腫瘍細胞を認めた.組織病理学的分析によってリンパ節転移を認めないと思われた患者 30 人中 15 人のリンパ節にこのような腫瘍細胞を認め,15 人中 5 人には小さい原発性腫瘍を認めた.“腫瘍なし”リンパ節に認められた Ber-EP4 陽性細胞は,無再発生存期間の有意な減少(p = 0.008)および生存率の有意な減少(p = 0.03)を独立して予測した.それらは,リンパ節転移を示さない患者(p = 0.01)およびリンパ節の限局転移を示す患者(p = 0.007)の双方において,再発を予測した.追跡調査可能で,リンパ節の組織病理学的および免疫組織化学的分析のいずれも陰性であった患者 12 人全員が再発せずに生存した.骨髄における微小転移腫瘍細胞の存在は,さらなる予後的価値を示さなかった.
リンパ節の免疫組織化学的検査は,食道癌の病理的進行期診断を改善する可能性がある.