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October 30, 1997 Vol. 337 No. 18

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初期 1 型ヒト免疫不全ウイルス感染症における細胞障害性 T 細胞反応,ウイルス量,および疾患の進行
CYTOTOXIC-T-CELL RESPONSES, VIRAL LOAD, AND DISEASE PROGRESSION IN EARLY HUMAN IMMUNODEFICIENCY VIRUS TYPE 1 INFECTION

L. MUSEY AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染症の初期では,宿主免疫に起因するウイルス複製の減少が認められるが,この反応を構成する要素,とくにウイルス量を調節し,疾患の転帰に影響を及ぼす細胞障害性 T リンパ球の能力は,よくわかっていない.

方 法

一次性 HIV-1 感染症患者 33 人の HIV 特異的活性化細胞障害性 T リンパ球とメモリー細胞障害性 T リンパ球をプロスペクティブに調べ,これらのリンパ球反応をその後 18~24 ヵ月間のウイルス量の変化および臨床状態の変化と比較した.

結 果

感染後まもなく,主に CD8+ 細胞によって媒介される活性化 HIV 特異的細胞障害性 T リンパ球は,患者 23 人中 17 人(74%)に検出された.メモリー細胞障害性 T リンパ球は,感染の最初の 3 ヵ月間では調べた患者 6 人中 6 人(100%)に認められ,最初の 6 ヵ月間では調べた患者 21 人中 17 人(81%)に認められた.メモリー細胞障害性 T リンパ球の発現率は時間とともに著しく変化したが,全体的にみてそれらは最初の 6~8 ヵ月間に減少し,その後 12~18 ヵ月間で安定した.Env 特異的メモリー細胞障害性 T リンパ球の発現率が高い患者の血漿中 HIV-1 RNA 濃度の中央値は,発現率が低い患者の約 3 分の 1 であった(RNA コピー/mL の中央値,22,000 対 62,000;p=0.006).感染初期に,Env 特異的メモリー細胞障害性 T リンパ球の発現率が低い(または発現していない)患者は,CD4+ 細胞が 300/mm3 未満へとより急速に減少した(p=0.05).

結 論

HIV-1 感染症初期では,メモリー細胞障害性 T リンパ球,とくに Env に対して特異的な T リンパ球の誘導は,ウイルス複製の調節に有用で,CD4+ 細胞数の減少を遅らせる.宿主の細胞障害性エフェクター反応は,HIV-1 疾患の進行を遅らせるように思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1267 - 74. )