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October 30, 1997 Vol. 337 No. 18

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転倒,転倒による受傷,介護ホーム入所のリスク
FALLS, INJURIES DUE TO FALLS, AND THE RISK OF ADMISSION TO A NURSING HOME

M.E. TINETTI AND C.S. WILLIAMS

背景

転倒は,介護ホーム入所の危険因子として検討する必要がある.理由は,転倒は頻度が高く,機能障害と関連し,予防できるかもしれないためである.

方 法

地域に住む 71 歳以上の人 1,103 人の確率サンプルに関する前向き研究を実施した.人口統計学的特徴・医学的特徴,医療の利用,認知機能・機能的機能・心理的機能・社会的機能に関するデータを,ベースラインと,その 1 年後の,参加者の自宅での評価中に得た.検討した主要転帰は,3 年の追跡期間における,初回評価から,専門介護施設への最初の長期入所までの日数とした.追跡期間中に,参加者を次の四つに分類した:転倒しなかった人,1 回転倒したが重傷を負わなかった人,2 回以上転倒したが重傷を負わなかった人,1 回以上転倒して重傷を負った人.

結 果

133 人(12.1%)が介護ホームに長期入所した.未補正モデルでは,入所のリスクは,転倒しなかった人と比較して,1 回転倒したが重傷を負わなかった人(相対リスク,4.9;95%信頼区間,3.2~7.5),複数回転倒したが重傷を負わなかった人(相対リスク,8.5;95%信頼区間,3.4~21.2),1 回以上転倒して重傷を負った人(相対リスク,19.9;95%信頼区間,12.2~32.6)の順に増加した.その他の危険因子を補正すると,リスク比は,重傷を負わなかった 1 回の転倒では 3.1(95%信頼区間,1.9~4.9),重傷を負わなかった 2 回以上の転倒では 5.5(95%信頼区間,2.1~14.2),重傷を負った 1 回以上の転倒では 10.2(95%信頼区間,5.8~17.9)に低下したが,転倒と介護ホーム入所との関連はなお強く,有意であった.これら三つの分類の,介護ホーム長期入所の人口寄与危険割合(三つの転倒分類に直接起因する入所割合)は,それぞれ 13%,3%,10%であった.

結 論

地域に住む高齢者において,転倒は専門介護施設入所の強い予測因子である;したがって,転倒とその後遺症を防止する介入策は,介護ホーム入所を遅らせ,その発生回数を減少させる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1279 - 84. )