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November 27, 1997 Vol. 337 No. 22

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鎌状赤血球貧血における循環中の活性化内皮細胞
CIRCULATING ACTIVATED ENDOTHELIAL CELLS IN SICKLE CELL ANEMIA

A. SOLOVEY AND OTHERS

背景

血管壁は鎌状赤血球症の病因に関与する.内皮がこの疾患において活性化されているか否かを明らかにするため,われわれは,鎌状赤血球貧血患者における循環中の内皮細胞の数,起源,表面形質を調べた.

方 法

バフィーコート塗抹標本の免疫組織化学法を用いて循環中の内皮細胞を計数し,循環中の内皮細胞標本に免疫螢光顕微鏡法を用いて表面形質を評価した.特異的抗内皮細胞抗体 P1H12 を含む一連の抗体を用いた.

結 果

健常血液ドナー,鎌状赤血球の形状を有する患者,ヘモグロビン S によらない溶血性貧血患者における循環中の内皮細胞の平均(±SD)数はそれぞれ,全血 1 mL 中に 2.6±1.6,3.0±2.6,2.0±0.8 個であった.急性疼痛発作を訴える鎌状赤血球貧血患者では,循環中の内皮細胞数が 22.8±18.2 個/mL 血液(健常者との比較について p<0.001),採血前後 1 ヵ月以内にそのようなイベントを有しない患者では循環中の内皮細胞数は 13.2±11.8 個/mL(健常者との比較に関して p=0.002,急性イベントを有する患者との比較に関して p = 0.019)であった.患者 3 人の経過観察では,急性疼痛発症時には循環中の内皮細胞濃度が高くなる傾向を示した.循環中の内皮細胞の平均生存率は 66±30%であった.鎌状赤血球貧血患者では,臨床状態によらず,循環中の内皮細胞は微小血管起源のもの(CD36 陽性)が優勢を占め,ほとんどの細胞が四つの内皮細胞活性化マーカー:細胞間接着分子 1(ICAM-1),血管細胞接着分子 1(VAM-1),E セレクチン,P セレクチンを発現していた.

結 論

われわれの試験は,血管内皮は患者の臨床状態によらず,鎌状赤血球貧血患者において活性化されていることを示唆する.活性化内皮細胞上の接着蛋白は,鎌状赤血球症の血管病理になんらかの役割を果たしている可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1584 - 90. )