December 18, 1997 Vol. 337 No. 25
慢性閉塞性肺疾患における横隔膜の細胞の適応
CELLULAR ADAPTATIONS IN THE DIAPHRAGM IN CHRONIC OBSTRUCTIVE PULMONARY DISEASE
S. LEVINE, L. KAISER, J. LEFEROVICH, AND B. TIKUNOV
重症慢性閉塞性肺疾患患者では,横隔膜は,エネルギー消費および相対的耐疲労性の増加で特徴づけられる生理的適応が生じる.われわれは,これらの生理的特徴が,疲労しにくく,収縮速度の遅い筋線維と,収縮速度の遅い筋原線維蛋白のアイソフォームの比率の増加からなる,構造的適応に関連するだろうという仮説を立てた.
重症慢性閉塞性肺疾患患者(平均±[SE] 1 秒量,予測値の 33±4%;残気量,予測値の 259±25%)6 人および対照被験者 10 人から横隔膜生検標本を得た.ドデシル硫酸ナトリウム–ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって,ミオシン重鎖,ミオシン軽鎖,トロポニン,およびトロポミオシンのさまざまなアイソフォームの割合を決定した.また,免疫細胞化学技法を用いて,さまざまなタイプの筋線維の割合を決定した.
患者の横隔膜生検標本は,対照者の横隔膜より遅いミオシン重鎖の割合が高く(64±3 対 45±2%,p<0.001),速いミオシン重鎖 IIa(29±3 対 39±2%,p=0.01)および IIb(8±1 対 17±1%,p<0.001)の割合が低かった.同様の差は,免疫組織化学技法を用いて,2 群のこれらの線維のタイプの割合を比較した場合にも認められた.さらに,これらの患者では,ミオシン軽鎖,トロポニン,トロポミオシンの収縮速度の遅いアイソフォームの割合が高かったのに対し,対照者では,これらの蛋白の収縮速度の速いアイソフォームの割合が高かった.
重症慢性閉塞性肺疾患では,横隔膜の筋線維の収縮速度が遅いという特性が増加するが,これは耐疲労性を向上させる適応である.