December 25, 1997 Vol. 337 No. 26
身体的,認知的,心理的および社会的機能に及ぼす継続した経済的困窮の累積的影響
CUMULATIVE IMPACT OF SUSTAINED ECONOMIC HARDSHIP ON PHYSICAL, COGNITIVE, PSYCHOLOGICAL, AND SOCIAL FUNCTIONING
J.W. LYNCH, G.A. KAPLAN, AND S.J. SHEMA
低収入と不健康との相関はよく立証されているが,これまでの研究は,収入を 1 回測定したにすぎない.
1965 年,1974 年,1983 年に,カリフォルニア州アラメダ郡の成人の代表サンプルから収入に関する情報を収集して,1994 年での生存参加者に及ぼす経済的困窮(世帯総収入が連邦貧困レベルの 200%未満として定義)の累積結果を調べた.
欠測情報のため,分析は参加者 1,081 人から 1,124 人のあいだの情報に基づいて行った(1994 年での年齢の中央値,65 歳).年齢および性別について補正後,収入が貧困レベルの 200%未満になった回数(範囲,0~3)と,社会的隔離を除き調べたすべての機能測定手段とのあいだに有意な段階的関係を認めた.経済的困窮がない被験者と比較すると,1965 年,1974 年,1983 年に経済的困窮があった被験者は,1994 年に,日常生活から独立した活動(料理,買い物,および金銭管理など)(オッズ比,3.38;95%信頼区間,1.49~7.64),日常生活上の活動(散歩,食事,着衣,およびトイレの使用など)(オッズ比,3.79;95%信頼区間,1.32~9.81)に困難を有することが多く,また臨床的抑うつ(オッズ比,3.24;95%信頼区間,1.32~7.89)を示すことが多かった.われわれは逆の因果関係 ― すなわち,疾患の発生がその後の経済的困窮を引き起した可能性がある,という証拠をほとんど認めなかった.
持続的な経済的困窮により,身体的,心理的および認知的機能の不良が起る.