冠動脈疾患患者におけるホモシステイン血漿濃度と死亡率
PLASMA HOMOCYSTEINE LEVELS AND MORTALITY IN PATIENTS WITH CORONARY ARTERY DISEASE
O. NYGARD AND OTHERS
血漿ホモシステイン濃度の上昇は冠動脈心疾患の危険因子であるが,冠動脈疾患確定患者におけるホモシステイン濃度の予後的意義は明確ではない.
血管造影術により確認した冠動脈疾患患者 587 人において,血漿総ホモシステイン濃度と死亡率との関連を前向きに検討した.1991 年または 92 年の血管造影時に,ホモシステイン濃度などの冠動脈疾患の危険因子を評価した.患者の大多数は,その後冠動脈バイパス術(318 人)または経皮経管冠動脈形成術(120 人)を受け,残る 149 人は内科的に治療した.
追跡期間の中央値である 4.6 年後,64 人(10.9%)が死亡した.血漿ホモシステイン濃度と全死亡とのあいだに,強い段階的関連が認められた.4 年後,ホモシステイン濃度が 9 μmol/L 未満の患者では 3.8%が死亡したのに対し,ホモシステイン濃度が 15 μmol/L 以上の患者では 24.7%が死亡した.ホモシステイン濃度は,冠動脈疾患の程度との関連は非常に弱かったが,心筋梗塞,左室駆出率,血清クレアチニン濃度に関する病歴との関連は強かった.死亡率に対するホモシステイン濃度の関連は,これらの病歴やその他可能性のある関連因子について補正後も依然として強かった.ホモシステイン濃度が 9 μmol/L 未満の患者を対照群として用いた解析では,死亡率は,ホモシステイン濃度が 9.0~14.9 μmol/L の患者で 1.9,15.0~19.9 μmol/L の患者で 2.8,20.0 μmol/L 以上の患者で 4.5 であった(傾向の p = 0.02).心血管疾患による死亡(50 人に発生)を解析のエンドポイントとして用いると,ホモシステイン濃度と死亡との関連は若干強くなった.
血漿総ホモシステイン濃度は,血管造影術によって確定された冠動脈疾患患者の死亡の強い予測因子である.