ミネソタ州における大腸菌 O157:H7 感染症の分子サブタイピングによる調査
SURVEILLANCE FOR ESCHERICHIA COLI O157:H7 INFECTIONS IN MINNESOTA BY MOLECULAR SUBTYPING
J.B. BENDER AND OTHERS
大腸菌 O157:H7 は,下痢および溶血性尿毒症症候群の主因である.大腸菌 O157:H7 に対する現在の公衆衛生調査は,かなりの医療資源を必要とする;従来の方法では感度および特異性に欠け,集団発生を効果的に発見することができなかった.
1994~95 年に,ミネソタ州保健局は大腸菌 O157:H7 のすべての臨床単離菌をわれわれの研究所に提出するよう要請した.パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によって単離菌をサブタイピングし,患者に対しては,可能性のある感染源に関してインタビューした.
1994 年と 95 年に,大腸菌 O157:H7 感染症症例 344 例がミネソタ州保健局に報告された;317 例(92%)を PFGE によってサブタイピングし,143 例の明確な PFGE パターンを確認した.大腸菌 O157:H7 の集団発生を 10 回確認した;サブタイピングした 317 症例中 56 例(18%)は,これらの集団発生によるものであった.4 回の集団発生は,サブタイプの特異的調査を行った場合に限り検出された.2 週間を 1 期間として,11 期間で,大腸菌 O157:H7 の報告症例数は先の 2 週間から倍増した.これらの事例の 8 期間では,確認されたパターンは異っており,集団発生はなかった.残る 3 回の増加のうち 2 回は多発的同時集団発生の結果であった.
大腸菌 O157:H7 に対するサブタイプの特異的調査は,従来の方法では検出できなかった集団発生を確認することができ,報告症例の突然の増加が散発的な症例によるものか,一つ以上の集団発生によるものか否かを確かめることができる.