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August 28, 1997 Vol. 337 No. 9

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フェンフルラミン–フェンテルミンによる心臓弁膜症
VALVULAR HEART DISEASE ASSOCIATED WITH FENFLURAMINE–PHENTERMINE

H.M. CONNOLLY AND OTHERS

背景

フェンフルラミンとフェンテルミンはそれぞれ,米国食品医薬品庁(FDA)から食欲抑制薬として承認されている.これら 2 薬剤を併用すると,いずれかの薬剤単独と同程度有効であるばかりか,各薬剤の用量がより少なくてすみ,おそらく副作用がより少ない,という付加利益が得られる.併用は FDA の承認を受けていないが,1996 年の米国でのフェンフルラミンとフェンテルミンの処方総数は 1,800 万を超えていた.

方 法

われわれは,フェンフルラミン–フェンテルミンで治療した,心疾患の既往のない女性 24 人に心臓弁膜症を認めた.それら女性は心血管症状と心雑音を示した.同様の臨床症状を示す女性の数が増加しつつあることが確認されたため,これらの特徴とフェンフルラミン–フェンテルミン療法とのあいだには関連があるように思われた.

結 果

女性 24 人(平均±[SD] 年齢,44±8 歳)は,フェンフルラミン–フェンテルミン療法開始後 12.3±7.1 ヵ月目に評価された.心エコー法により,患者全員に弁の異常な形態と逆流が示された.左右両側の弁がともに関係していた.女性 8 人ではまた,新たに肺高血圧症が報告された.現在までに,患者 5 人が心臓手術を必要とした.心臓弁は,輝くような白い外観を呈していた.組織病理学的所見では,正常の弁構築であるが弁尖や腱索にプラーク様被膜が示された.組織病理学的特徴は,カルチノイドまたはエルゴタミン誘発弁疾患で認められる特徴と一致した.

結 論

これらの症例は,フェンフルラミン–フェンテルミン療法が心臓弁膜症に関連する可能性があるという懸念を呼び起した.フェンフルラミン–フェンテルミン療法を検討している患者には,肺高血圧症や心臓弁膜症などの起りうる重篤な副作用について説明しなければならない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 581 - 8. )