慢性うつ病の治療におけるネファゾドン,精神療法の認知行動分析システム,およびそれらの併用の比較
A Comparison of Nefazodone, the Cognitive Behavioral-Analysis System of Psychotherapy, and Their Combination for Chronic Depression
M.B. KELLER AND OTHERS
大うつ病の慢性型の患者は治療がむずかしく,薬物療法および精神療法の相対的な有効性も明らかではない.
非精神病性の慢性大うつ病性障害の 681 例の成人を,ネファゾドン(Nefazodone)(最大 1 日用量,600 mg),精神療法の認知行動分析システム(16~20 セッション),あるいはそれらの併用による 12 週間の外来治療に無作為に割り付けた.これらのすべての患者は,24 項目の Hamilton うつ状態評価尺度(24-item Hamilton Rating Scale for Depression)(この評価尺度は臨床的に有意なうつ状態を示す)のスコアが,試験開始時点において少なくとも 20 点以上であった.寛解の定義は,このスコアが試験 10 週目および 12 週目に 8 点以下になることとした.寛解に達しなかった患者については,有効な反応として,このスコアが試験開始から少なくとも 50%の低下,および 15 点未満への低下と定義した.この検査の評価者には,患者の治療割り付けを知らせていなかった.
681 例の患者のうち,662 例は少なくとも 1 回の治療セッションに参加したので,治療効果の解析に組み入れた.治療に対する全有効率(寛解および有効)は,ネファゾドン群と精神療法群のどちら群も 48%であったのに対して,併用治療群では73%であった(どちらの群との比較においても p<0.001).全有効率を試験完了被験者の 519 例でみてみると,ネファゾドン群が 55%,精神療法群が 52%であったのに対して,併用治療群では 85%であった(どちらの群との比較においても p<0.001).治療の中止率は 3 群とも同程度であった.ネファゾドン群の有害事象は,この薬剤で報告されている既知の副作用(たとえば,頭痛,傾眠,口渇,悪心,および目眩など)と一致していた.
大うつ病の慢性型の患者は,その約半数がネファゾドンあるいは精神療法の認知行動分析システムによる短期治療に反応するが,これら二つの治療法による併用治療のほうがそれぞれの単独治療よりも有意に有効である.