The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 13, 2001 Vol. 345 No. 11

Helicobacter pylori 感染と胃癌の発生
Helicobacter pylori Infection and the Development of Gastric Cancer

N. UEMURA AND OTHERS

背景

数多くの研究において,Helicobacter pylori 感染と胃癌の発生との関連については確認されているが,詳細については不明な点も多く残っている.

方 法

組み入れ時に,十二指腸潰瘍,胃潰瘍,胃過形成性ポリープまたは非潰瘍性消化不良(nonulcer dyspepsia;NUD)と診断された日本人患者 1,526 例を前向きに検討した;1,246 例が H. pylori に感染し,280 例は感染していなかった.平均追跡調査期間は 7.8 年間であった(範囲,1.0 ~ 10.6 年間).これらの患者には,組み入れ時とその後,1 ~ 3 年ごとに生検を伴った内視鏡検査が施行された.H. pylori 感染の判定は,組織学的検査,血清学的検査および迅速ウレアーゼ試験によって評価され,いずれかの一つでも陽性の場合に H. pylori 陽性と判定された.

結 果

感染患者の 36 例(2.9%)に胃癌が発生したが,非感染患者には 1 例も発生しなかった.発見胃癌の組織型は分化型胃癌が 23 例で,未分化型胃癌が 13 例であった.H. pylori 感染患者のなかでも,高度の胃粘膜萎縮,体部優勢の胃炎および腸上皮化生を有する患者で,胃癌のリスクが有意に高かった.なお,NUD 445 例のうちの 21 例(4.7%),胃潰瘍 297 例の 10 例(3.4%),胃過形成性ポリープ 229 例の 5 例(2.2%)に胃癌が発見されたが十二指腸潰瘍 275 例の患者には胃癌の発生は皆無であった.

結 論

胃癌は,H. pylori 感染者に発生するが,非感染者には発生しない.感染者のなかでは,高度の胃粘膜萎縮,体部優勢の胃炎および腸上皮化生の組織学的所見が認められた患者で胃癌のリスクが上昇している.NUD,胃潰瘍,あるいは胃過形成性ポリープを有する H. pylori 感染者は胃癌のリスクが高くなっているが,十二指腸潰瘍の H. pylori 感染者ではリスクは高くない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 784 - 9. )