March 27, 2003 Vol. 348 No. 13
末梢および中枢の慢性神経因性疼痛に対する経口オピオイド療法
Oral Opioid Therapy for Chronic Peripheral and Central Neuropathic Pain
M.C. Rowbotham and Others
オピオイドは慢性神経因性疼痛の治療によく用いられるが,その使用法に関する指針となるデータは少ない.対照試験はほとんど行われておらず,神経因性疼痛のほとんどのタイプは研究されないままになっている.
難治性神経因性疼痛を有する成人を,強力な μ オピオイド作動薬であるレボルファノール(levorphanol)の高用量(0.75 mg)あるいは低用量(0.15 mg)カプセルのいずれかを,二重盲検下で 8 週間投与する群に無作為に割り付けた.いずれの用量とも 1 日当り最高 21 カプセルを限度とし,患者が服用数をカウントした.転帰指標は,患者日誌に記録された疼痛強度,疼痛軽減度,QOL,精神・認知機能,毎日服用したカプセル数およびレボルファノール血中濃度などであった.
試験薬を使用した患者 81 例において,高用量レボルファノール群では疼痛が36%軽減したのに対し,低用量群では疼痛が21%軽減した(P=0.02).平均すると,高用量群の患者は 1 日 11.9 カプセル(1 日 8.9 mg)を服用し,低用量群の患者は,最大許可量の 21 カプセルに近い量(1 日 18.3 カプセル,1 日 2.7 mg)を服用した.感情面での問題と社会的機能への支障は軽減し,睡眠は改善したが,これら変数に関し,高用量群と低用量群のあいだに差はなかった.試験終了にいたらなかったのはオピオイドによる副作用が主因であった.脳卒中後の中枢神経性疼痛を訴える患者は,利益を報告する割合がもっとも低かった.
神経因性疼痛強度の軽減は,低用量よりも高用量のオピオイドによる治療で有意に高かった.高用量は他の転帰指標に関して有意な付加的利益を示さず,副作用の頻度がより高かった.