August 26, 2004 Vol. 351 No. 9
急性呼吸窮迫症候群に対する遺伝子組換え型サーファクタント蛋白 C をベースとしたサーファクタントの効果
Effect of Recombinant Surfactant Protein C-Based Surfactant on the Acute Respiratory Distress Syndrome
R.G. Spragg and Others
前臨床研究で,外因性サーファクタントが急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に有用である可能性が示唆されており,2 つの第 II 相臨床試験では有益な傾向が示されている.われわれは,成人 ARDS 患者において,蛋白含有サーファクタントに関する 2 つの第 III 相試験を実施した.
さまざまな原因で ARDS をきたした患者 448 例を組み入れた 2 つの多施設共同無作為二重盲検試験で,標準的治療のみを行う場合と,標準的治療に加え,遺伝子組換え型サーファクタント蛋白 C をベースとしたサーファクタントを 24 時間以内に最大 4 回気管内投与する治療法とを比較した.
治療後 28 日の時点での全生存率は 66%,機械的人工呼吸を必要としない日数の中央値は 0 日であった(68%区間 0~26 日間).死亡率や人工呼吸の必要性に関して両群に有意差はなかった.単変量解析と多変量解析の双方で,サーファクタント投与を受けた患者は,標準的治療を受けた患者と比較して,治療開始後 24 時間のあいだの血液の酸素化に有意に大きな改善がみられた.
原因の多様な ARDS 患者集団では,外因性サーファクタントを使用しても生存率は向上しなかった.サーファクタント投与を受けた患者では,標準的治療のみを受けた患者と比較して 24 時間の治療期間中のガス交換が大きく改善したことから,より長期にわたる治療コースが有益である可能性が示唆される.