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June 23, 2005 Vol. 352 No. 25

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新規発症の 1 型糖尿病の CD3 抗体療法後に必要とされるインスリン投与量
Insulin Needs after CD3-Antibody Therapy in New-Onset Type 1 Diabetes

B. Keymeulen and Others

背景

1 型糖尿病は,T 細胞性自己免疫疾患であり,インスリンを分泌する β 細胞が大量に破壊される.第 1 相試験の結果から,CD3 モノクローナル抗体を用いた治療で,臨床症状発現後に β 細胞の機能がさらに低下するのを予防できる可能性が示唆されている.この治療法を代謝レベルで立証するため,ヒト化抗体を用いた第 2 相プラセボ対照試験を実施した.抗体は,CD3 に対するグリコシル化ヒト IgG1 抗体(ChAglyCD3)を使用した.

方 法

多施設共同試験を行い,新たに 1 型糖尿病を発症した患者 80 例を,プラセボまたは ChAglyCD3 のいずれかを 6 日間連続投与する群に無作為に割付けた.患者を 18 ヵ月間追跡し,インスリンの 1 日必要量と β 細胞の残存機能を評価した.評価は,グルコースクランプ法により生じる C ペプチド量を,グルカゴンの投与前後に測定することで行った.

結 果

6,12,18 ヵ月の時点で,β 細胞の残存機能は,ChAglyCD3 群でプラセボ群よりもよく維持されていた.インスリンの投与量はプラセボ群で増加したが,ChAglyCD3 群では増加しなかった.このような ChAglyCD3 の効果は,患者 80 例のうち,試験開始時に β 細胞の残存機能が 50 パーセンタイル以上の患者で顕著であった.このサブグループの 18 ヵ月の時点での平均インスリン投与量は,ChAglyCD3 群で 1 日当り 0.22 IU/kg 体重であったのに対し,プラセボ群では 1 日当り 0.61 IU/kg 体重であった(P<0.001).このサブグループにおいて,ChAglyCD3 投与を受けた 16 例のうち,12 例(75%)はインスリン投与量が最小量(1 日当り 0.25 IU/kg 体重以下)であったのに対し,プラセボ投与を受けた 21 例では最小量であった患者はいなかった.ChAglyCD3 投与に関連して,中等度の「インフルエンザ様」症候群と,EB ウイルスによる一過性の伝染性単核球症の症状がみられた.

結 論

CD3 抗体を用いた短期治療により,1 型糖尿病を新規発症した患者の β 細胞の残存機能は 18 ヵ月以上維持される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 2598 - 608. )