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February 7, 2008 Vol. 358 No. 6

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アバカビル過敏症に対する HLA-B5701 のスクリーニング
HLA-B5701 Screening for Hypersensitivity to Abacavir

S. Mallal and Others

背景

アバカビルに対する過敏反応は,HLA-B5701 対立遺伝子の有無と強く関連している.この研究は,アバカビルに対する過敏反応を予防するため,前向きに行う HLA-B5701 のスクリーニングの有効性を確立するために計画された.

方 法

この二重盲検前向き無作為化試験では,ヒト免疫不全ウイルス 1 型に感染し,アバカビルをこれまで投与されたことがない 19 ヵ国の患者 1,956 例を対象とした.患者を,HLA-B5701 のスクリーニングを前向きに行う群(前向きスクリーニング群)と,スクリーニングを行わず,アバカビルを用いた標準治療を受ける群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた.前向きスクリーニングで HLA-B5701 陽性の患者は,アバカビルによる治療から除外した.アバカビル投与を開始したすべての患者を 6 週間観察した.アバカビルへの過敏反応の臨床診断を免疫学的に確認しその特異度を高めるため,アバカビルを用いた経皮パッチテストを行った.

結 果

HLA-B5701 の陽性率は 5.6%(1,956 例中 109 例)であった.アバカビル投与を受けた患者のうち,72%が男性で,84%が白人であり,18%が以前に抗レトロウイルス療法を受けたことがない患者であった.スクリーニングにより,免疫学的に確認される過敏反応が排除され(前向きスクリーニング群 0%,対照群 2.7%;P<0.001),陰性適中率は 100%,陽性適中率は 47.9%であった.過敏反応が臨床的に診断されたのは 93 例で,発生率は前向きスクリーニング群(3.4%)のほうが対照群(7.8%)に比べて有意に低かった(P<0.001).

結 論

HLA-B5701 のスクリーニングにより,アバカビルに対する過敏反応のリスクが低下した.この試験と類似した大部分が白人の集団では,患者の 94%は HLA-B*5701 対立遺伝子を有さず,アバカビルに対する過敏反応のリスクが低いということになる.今回の結果から,薬剤特異的な毒性作用を予防するために,薬理遺伝学的検査を用いることができることが示された.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00340080)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 568 - 79. )