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November 27, 2008 Vol. 359 No. 22

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64 列 CT による冠動脈造影の診断能
Diagnostic Performance of Coronary Angiography by 64-Row CT

J.M. Miller and Others

背景

64 列マルチスライス CT による血管造影の診断精度は十分には明らかにされていない.

方 法

冠動脈疾患の疑いのある患者を対象に,0.5 mm×64 列マルチスライス CT 血管造影の診断精度を,従来の冠動脈造影と比較・検討することを目的として多施設共同試験を実施した.9 施設において,従来の冠動脈造影を受ける前にカルシウムスコアリングとマルチスライス CT 血管造影を受けた患者を登録した.カルシウムスコアが 600 以下の 291 例について,独立した中央検査所で直径 1.5 mm 以上の部位を CT と従来の血管造影を用いて分析した.50%以上の狭窄を閉塞とした.受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下面積(AUC)を用いて,従来の血管造影と比較した診断精度とその後の血行再建術の施行状況を評価し,修正 Duke 冠動脈疾患指標(modified Duke Coronary Artery Disease Index)を用いて疾患の重症度を評価した.

結 果

計 56%の患者に閉塞性冠動脈疾患が認められた.従来の血管造影での 50%以上の狭窄の検出・除外に対する定量的 CT 血管造影の患者ごとの診断精度は,AUC 0.93(95%信頼区間 [CI] 0.90~0.96),感度 85%(95% CI 79~90),特異度 90%(95% CI 83~94),陽性適中率 91%(95% CI 86~95),陰性適中率 83%(95% CI 75~89)であった.その後血行再建術を受けた患者を同定する能力は,CT 血管造影と従来の血管造影で同等であり,AUC はマルチスライス CT 血管造影で 0.84(95% CI 0.79~0.88),従来の血管造影で 0.82(95% CI 0.77~0.86)であった.866 の血管を血管ごとに解析したところ,AUC は 0.91(95% CI 0.88~0.93)であった.CT と従来の血管造影で確認した疾患重症度には,高い相関が認められた(r=0.81,95% CI 0.76~0.84).CT 血管造影の施行後,2 例で造影剤に対する重大な反応がみられた.

結 論

マルチスライス CT 血管造影により,有症状患者における閉塞性冠動脈疾患の有無や重症度,その後の血行再建術の施行状況が正確に同定される.しかし,陰性・陽性適中率からは,マルチスライス CT 血管造影は現段階では従来の血管造影の代替法とはなりえないことが示唆される.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00738218)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2324 - 36. )