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December 23, 2010 Vol. 363 No. 26

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症候性静脈血栓塞栓症に対するリバーロキサバンの経口投与
Oral Rivaroxaban for Symptomatic Venous Thromboembolism

The EINSTEIN Investigators

背景

経口第 Xa 因子阻害薬リバーロキサバン(rivaroxaban)は,急性深部静脈血栓症(DVT)の治療とその継続治療に固定用量で簡便に用いることができ,検査によるモニタリングを必要としないレジメンとなる可能性がある.

方 法

急性症候性 DVT 患者を対象とした非盲検無作為化イベント主導型非劣性試験において,患者を経口リバーロキサバン単独投与(15 mg 1 日 2 回 3 週間,その後は 20 mg 1 日 1 回)または皮下エノキサパリン+ビタミン K 拮抗薬(ワルファリンもしくはアセノクマロール [acenocoumarol])投与を,3 ヵ月行う群,6 ヵ月行う群,12 ヵ月行う群に割り付けた.これと並行して,静脈血栓塞栓症に対する 6~12 ヵ月間の治療を完了した患者を対象とした二重盲検無作為化イベント主導型優越性試験において,患者をリバーロキサバン単独投与(20 mg 1 日 1 回)またはプラセボ投与をさらに 6 ヵ月行う群と 12 ヵ月行う群に割り付けた.有効性の主要転帰は,両試験とも静脈血栓塞栓症の再発とした.安全性の主要転帰は,初期投与試験では重大な出血または臨床的意義はあるが重大ではない出血とし,継続投与試験では重大な出血とした.

結 果

急性 DVT に対するリバーロキサバンの試験の対象は 3,449 例で,内訳はリバーロキサバン群 1,731 例,エノキサパリン+ビタミン K 拮抗薬群 1,718 例であった.主要転帰に関して,リバーロキサバンは有効性について非劣性を示した(36 件 [2.1%] に対しエノキサパリン+ビタミン K 拮抗薬群 51 件 [3.0%],ハザード比 0.68,95%信頼区間 [CI] 0.44~1.04,P<0.001).安全性の主要転帰は各群で 8.1%認められた.継続投与試験では 602 例がリバーロキサバン群に,594 例がプラセボ群に含められ,リバーロキサバンは有効性について優越性を示した(8 件 [1.3%] に対しプラセボ群 42 件 [7.1%],ハザード比 0.18,95% CI 0.09~0.39,P<0.001).リバーロキサバン群では 4 例(0.7%)に非致死的な重大な出血が発生したのに対し,プラセボ群では発生しなかった(P=0.11).

結 論

リバーロキサバンにより,静脈血栓症の短期治療・継続治療への簡便な単剤アプローチが可能となり,これによって抗凝固療法の利益対リスク特性が改善される可能性がある.(Bayer Schering Pharma 社,Ortho-McNeil 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00440193,NCT00439725)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2499 - 510. )