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December 23, 2010 Vol. 363 No. 26

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小児期発症てんかんにおける長期死亡率
Long-Term Mortality in Childhood-Onset Epilepsy

M. Sillanpää and S. Shinnar

背景

前向きに追跡された特性の明確なてんかん患児のコホート集団において,長期死亡率を検討した研究はほとんどない.小児期にてんかんと診断されたフィンランドのコホート集団における長期死亡率について報告する.

方 法

1964 年にてんかんと診断された小児 245 例から成る住民ベースのコホート集団において,てんかん発作の転帰と死亡率を評価した.このコホート集団は,40 年にわたり前向きに追跡された.原因不明の突然死の発生率を推定した.このコホート集団では剖検率がきわめて高かったため,ほぼ全例において特異的診断が可能であった.

結 果

60 例(24%)が死亡した.この死亡率は,年齢と性別で補正した一般集団の期待死亡率より 3 倍高かった.この死亡例には5 年寛解維持(死亡または最終追跡調査時に 5 年以上発作がない状態)が得られなかった 107 例のうちの 51 例(48%)が含まれた.てんかんの原因が遠隔期症候性(重大な神経障害または損傷)の場合も,特発性・潜因性の場合と比べて,死亡リスクの上昇に関連した(37% 対 12%,P<0.001).死亡した 60 例のうち,33 例(55%)がてんかんに関連しており,内訳は原因不明の突然死 18 例(30%),てんかん発作の確定例またはほぼ確定例 9 例(15%),不慮の溺死 6 例(10%)であった.てんかんに関連しない死亡は,主に遠隔期症候性てんかん患者で認められた.原因不明の突然死の累積リスクは,全体では 40 年の時点で 7%,長期寛解が得られず薬物治療を受けていなかった患者に限定した解析では 12%であった.特発性・潜因性てんかんの 14 歳未満の患者では,原因不明の突然死は認められなかった.

結 論

小児期発症てんかんは,原因不明の突然死をはじめとするてんかん関連死の重大なリスクと関連していた.このリスクは,寛解が得られていない児においてとくに高かった.(フィンランドてんかん研究財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2522 - 9. )