The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

July 29, 2010 Vol. 363 No. 5

胸骨圧迫単独による心肺蘇生と胸骨圧迫・人工呼吸併用による心肺蘇生との比較
CPR with Chest Compression Alone or with Rescue Breathing

T.D. Rea and Others

背景

一般市民が行う心肺蘇生(CPR)における人工呼吸の役割は明らかにされていない.われわれは,救急医療の通信指令員が,居合わせた人に胸骨圧迫のみを行うよう指示した場合,胸骨圧迫と人工呼吸を行うよう指示した場合と比較して生存率が改善するという仮説を立てた.

方 法

通信指令員による居合わせた人への CPR 実施の指示について,多施設共同無作為化試験を行った.対象は,院外心停止を起こした 18 歳以上の患者で,通信指令員が居合わせた人に CPR を指示した患者とした.患者を胸骨圧迫単独群と胸骨圧迫+人工呼吸群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は生存退院とし,副次的転帰は退院時の神経学的転帰良好などとした.

結 果

組入れ基準を満たした 1,941 例のうち,981 例を胸骨圧迫単独群,960 例を胸骨圧迫+人工呼吸群に無作為に割り付けた.生存退院率(胸骨圧迫単独群 12.5%,胸骨圧迫+人工呼吸群 11.0%,P=0.31)や,副次的転帰の評価が行われた 2 施設で神経学的転帰良好の生存患者の割合(それぞれ 14.4%,11.5%;P=0.13)に,両群間で有意差は認められなかった.事前に規定したサブグループ解析では,胸骨圧迫単独による生存退院率は,胸骨圧迫+人工呼吸と比較して,心原性心停止患者(15.5% 対 12.3%,P=0.09)と,除細動適応のリズムを呈した患者(31.9% 対 25.7%,P=0.09)とで,高い傾向がみられた.

結 論

通信指令員が胸骨圧迫のみを行うよう指示した場合,全生存率に上昇はみられなかったが,主要な臨床的サブグループの転帰が改善する傾向が認められた.これらの結果は,一般市民が行う CPR では胸骨圧迫を重視し,人工呼吸の役割は最小限に抑える戦略を支持するものである.(レールダル急性期医療財団,メディック・ワン財団より一部研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00219687)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 423 - 33. )