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July 29, 2010 Vol. 363 No. 5

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院外心停止に対する胸骨圧迫単独による心肺蘇生と標準的心肺蘇生との比較
Compression-Only CPR or Standard CPR in Out-of-Hospital Cardiac Arrest

L. Svensson and Others

背景

救急医療の通信指令員は,心停止が疑われる患者の救助を求めて電話してきた人に対して,救急隊の到着まで,心肺蘇生(CPR)の実施法を電話で指導する.ある先行試験では,胸骨圧迫のみを行う CPR を指示することにより,胸骨圧迫と人工呼吸の両方を行う標準的な CPR を指示した場合に比べて,同等またはより優れた治療効果が得られることが示唆された.しかしこの試験には,生存率の差を評価するための検出力はなかった.今回われわれが行う前向き無作為化試験の目的は,生存率に関する胸骨圧迫単独 CPR の標準的 CPR に対する優越性を検討することである.

方 法

院外心停止が疑われ,目撃者のいる患者を,胸骨圧迫単独 CPR 群と標準的 CPR 群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 30 日生存率とした.

結 果

主要解析のためのデータを,2005 年 2 月~2009 年 1 月に計 1,276 例の患者から収集した.このうち 620 例を胸骨圧迫単独 CPR 群に,656 例を標準的 CPR 群に割り付けた.30 日生存率は 2 群で同程度であり,胸骨圧迫単独 CPR 群で 8.7%(620 例中 54 例),標準的 CPR 群で 7.0%(656 例中 46 例)であった(胸骨圧迫単独 CPR 群 対 標準的 CPR 群の絶対差 1.7 パーセントポイント,95%信頼区間 -1.2~4.6,P=0.29).

結 論

この前向き無作為化試験において,院外心停止が疑われ目撃者のいる患者に対する救急隊到着までの処置として通信指令員が胸骨圧迫単独 CPR を指示した場合と標準的 CPR を指導した場合とで,30 日生存率に関して有意差は認められなかった.(スウェーデン心臓・肺財団ほかより研究助成を受けた.Karolinska Clinical Trial Registration 番号:CT20080012)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 434 - 42. )