The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 13, 2011 Vol. 364 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性中耳炎に対する抗菌薬治療に関するプラセボ対照試験
A Placebo-Controlled Trial of Antimicrobial Treatment for Acute Otitis Media

P.A. Tähtinen and Others

背景

急性中耳炎の小児に対する抗菌薬治療の有効性には依然として議論がある.

方 法

無作為化二重盲検試験において,厳密な基準を用いて急性中耳炎と診断された生後 6~35 ヵ月の小児に対し,7 日間にわたりアモキシシリン・クラブラン酸(161 例)またはプラセボ(158 例)を投与した.主要転帰は,初回投与から 8 日目の治療終了時の受診までのあいだの,治療失敗までの期間とした.治療失敗は,患児の全般的な病態(有害事象を含む)と,耳鏡検査での急性中耳炎の徴候に基づき定義した.

結 果

治療失敗が認められたのは,アモキシシリン・クラブラン酸群では 18.6%であったのに対し,プラセボ群では 44.9%であった(P<0.001).群間差は予定された最初の受診時(3 日目)にすでに認められ,この時点での治療失敗率は,アモキシシリン・クラブラン酸群で 13.7%であったのに対し,プラセボ群では 25.3%であった.全体では,アモキシシリン・クラブラン酸群では治療失敗の割合が 62%少なく(ハザード比 0.38,95%信頼区間 [CI] 0.25~0.59,P<0.001),レスキュー治療の必要性が 81%減少した(6.8% 対 33.5%,ハザード比 0.19,95% CI 0.10~0.36,P<0.001).鎮痛薬または解熱薬の投与は,アモキシシリン・クラブラン酸群の 84.2%とプラセボ群の 85.9%に行われた.有害事象はアモキシシリン・クラブラン酸群のほうがプラセボ群よりも有意に多かった.アモキシシリン・クラブラン酸群では 47.8%で下痢が生じたのに対し,プラセボ群では 26.6%であり(P<0.001),湿疹がアモキシシリン・クラブラン酸群の 8.7%とプラセボ群の 3.2%で認められた(P=0.04).

結 論

急性中耳炎の小児では,抗菌薬治療により,副作用は増加するもののプラセボと比較して利益が得られる.今後の研究では,不必要な抗菌薬治療と細菌の耐性発現を最小限に抑えるために,もっとも大きな利益が得られうる患者を明らかにする必要がある.(小児科研究基金ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00299455)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 116 - 26. )