The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 13, 2011 Vol. 364 No. 2

コレステロール引抜き能,高比重リポ蛋白の機能,アテローム性動脈硬化
Cholesterol Efflux Capacity, High-Density Lipoprotein Function, and Atherosclerosis

A.V. Khera and Others

背景

高比重リポ蛋白(HDL)は,マクロファージからのコレステロール逆輸送を促進することで心血管保護をもたらす可能性がある.われわれは,HDL がマクロファージからコレステロールを受け取る能力が,アテローム性動脈硬化の予測因子になるという仮説を立てた.

方 法

頸動脈内膜中膜厚の評価を受けた健常ボランティア 203 例のコホートと,血管造影で冠動脈疾患が確認された 442 例・確認されなかった 351 例の症例対照コホートにおいて,コレステロール引抜き能を評価した.マクロファージを被験者のアポリポ蛋白 B 除去血清で培養する妥当性の検証された ex vivo 系を用いて,引抜き能を定量化した.

結 果

HDL コレステロール値とアポリポ蛋白 A-I 値はコレステロール引抜き能の有意な決定因子であったが,観察された変動に占める割合は 40%に満たなかった.コレステロール引抜き能と頸動脈内膜中膜厚とのあいだには,HDL コレステロール値を補正する前後で逆相関が認められた.さらにコレステロール引抜き能は,冠動脈疾患の強力な負の予測因子であった(引抜き能 1 SD 上昇あたりの冠動脈疾患の補正オッズ比 0.70,95%信頼区間 [CI] 0.59~0.83,P<0.001).この相関は,HDL コレステロール値をさらに補正すると減弱し(1 SD 上昇あたりのオッズ比 0.75,95% CI 0.63~0.90,P=0.002),アポリポ蛋白 A-I 値を補正しても減弱したが(1 SD 上昇あたりのオッズ比 0.74,95% CI 0.61~0.89,P=0.002),依然として有意であった.追加研究では,ピオグリタゾン投与を受けた HDL コレステロール低値のメタボリックシンドローム患者ではコレステロール引抜き能の増強がみられたが,スタチン投与を受けた高コレステロール血症患者ではそのような増強はみられないことが示された.

結 論

HDL 機能の指標であるマクロファージからのコレステロール引抜き能は,HDL コレステロール値とは独立に,頸動脈内膜中膜厚と,血管造影で冠動脈疾患が認められる確率の両方に強い負の関連を示す.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 127 - 35. )