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September 1, 2011 Vol. 365 No. 9

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院外心停止に対するインピーダンス閾値弁装置の使用に関する臨床試験
A Trial of an Impedance Threshold Device in Out-of-Hospital Cardiac Arrest

T.P. Aufderheide and Others

背景

インピーダンス閾値弁装置(ITD)は,胸腔内圧の陰圧を増大させることにより,心肺蘇生(CPR)時の静脈還流量と心拍出量を増加させることを目的としたものである.先行研究では,CPR 時に ITD を使用することで心停止後の生存率が改善する可能性があることが示唆されている.

方 法

米国とカナダにある 10 施設で,院外心停止患者を対象として,標準的 CPR において ITD の実装置を用いた場合とプラセボ ITD を用いた場合とで比較した.治療割付けは,患者,研究者,試験コーディネーター,すべての医療提供者には知らせなかった.主要転帰は,十分な機能(修正 Rankin スケール [0~6 で,スコアが高いほど障害が大きいことを示す] で 3 以下)での生存退院とした.

結 果

解析対象とした 8,718 例のうち,4,345 例がプラセボ装置群に,4,373 例が実装置群に無作為に割り付けられた.主要転帰の基準を満たした患者は,ITD のプラセボ装置群では 260 例(6.0%),実装置群では 254 例(5.8%)であった(逐次的モニタリングについて補正した後のリスク差 -0.1 パーセントポイント,95%信頼区間 -1.1~0.8,P=0.71).救急部への到着時点での心拍再開率,生存入院率,生存退院率などを含む副次的転帰にも有意差は認められなかった.

結 論

院外心停止患者に対する標準的 CPR において ITD を使用しても,十分な機能状態での生存率に有意な改善は認められなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ROC PRIMED ClinicalTrials.gov 番号:NCT00394706)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 798 - 806. )