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October 2, 2014 Vol. 371 No. 14

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セリアック病のリスクが高い乳児に対する無作為化栄養介入
Randomized Feeding Intervention in Infants at High Risk for Celiac Disease

S.L. Vriezinga and Others

背景

グルテンの導入によってセリアック病のリスクを低減させるには,生後 4~6 ヵ月が好機である可能性が示唆されている.

方 法

HLA-DQ2 または HLA-DQ8 陽性で,第一度近親者にセリアック病患者が 1 人以上いる児 944 例を対象に,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照食事介入試験を行った.生後 16~24 週の期間に,475 例に免疫学的活性グルテン 100 mg を連日投与し,469 例にプラセボを投与した.抗 2 型トランスグルタミナーゼ抗体と抗グリアジン抗体を定期的に測定した.主要評価項目は,3 歳の時点での,生検で確認されたセリアック病の頻度とした.

結 果

生検により 77 例でセリアック病が確認された.セリアック病の頻度が過小評価されることを回避するために,欧州小児消化器病学・肝臓学・栄養学会の 2012 年の診断基準に従ってセリアック病と診断された別の 3 例(生検を受けていない)も解析の対象とした(計 80 例,年齢中央値 2.8 歳,女児 59%).3 歳の時点でのセリアック病の累積発生率は 5.2%(95%信頼区間 [CI] 3.6~6.8)であり,グルテン群とプラセボ群とで同程度であった(それぞれ 5.9% [95% CI 3.7~8.1] と 4.5% [95% CI 2.5~6.5],グルテン群のハザード比 1.23,95% CI 0.79~1.91).抗 2 型トランスグルタミナーゼ抗体価と抗グリアジン抗体価が上昇している割合も,2 群で同程度であった(グルテン群 7.0% [95% CI 4.7~9.4],プラセボ群 5.7% [95% CI 3.5~7.9];ハザード比 1.14;95% CI 0.76~1.73).母乳栄養は,完全母乳であったかどうか,グルテン導入中も継続されていたかどうかにかかわらず,セリアック病の発症にも介入の効果にも有意な影響を及ぼさなかった.

結 論

今回の高リスク児集団においては,生後 16~24 週の期間に少量のグルテンを導入しても,プラセボと比較して,3 歳の時点でセリアック病を発症するリスクは低減されなかった.(欧州委員会ほかから研究助成を受けた.PreventCD 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN74582487)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1304 - 15. )