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March 12, 2015 Vol. 372 No. 11

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灌流画像によって患者選択を行う脳梗塞の血管内治療
Endovascular Therapy for Ischemic Stroke with Perfusion-Imaging Selection

B.C.V. Campbell and Others

背景

脳梗塞に対する血管内治療の試験では,さまざまな結果が出ている.この研究試験の目的は,進歩した画像技術に基づく患者選択,最近開発されたデバイス,より早期の介入によって,転帰が改善するかどうかを検討することである.

方 法

脳梗塞発症後 4.5 時間以内にアルテプラーゼ 0.9 mg/kg 体重を投与されていた患者を, ステント型血栓回収デバイス Solitaire FR(Flow Restoration;血流回復)を用いて血管内血栓除去を行う群と,アルテプラーゼ投与のみを継続する群に無作為に割り付けた.内頸動脈または中大脳動脈に閉塞をきたし,CT 灌流画像にて救済可能な脳組織が認められ,虚血中心部体積 70 mL 未満の患者を適格とした.複合主要評価項目は,24 時間の時点での再灌流と,早期の神経学的改善(3 日目に米国国立衛生研究所脳卒中スケール [NIHSS] で 8 ポイント以上低下するか,スコアが 0 または 1)とした.副次的評価項目は,90 日の時点での修正 Rankin スケールの機能スコアなどとした.

結 果

70 例(各群 35 例)を無作為化した時点で有効性が認められたため,試験は早期に中止された.24 時間の時点で再灌流が得られていた虚血領域の割合は,血管内治療群のほうがアルテプラーゼ単独群よりも高かった(中央値 100% 対 37%,P<0.001).血管内治療開始までの時間は,脳梗塞発症後中央値 210 分であった.血管内治療群では,3 日の時点で早期の神経学的改善が認められた患者の割合が高く(80% 対 37%,P=0.002),90 日の時点で機能的転帰が改善し,より多くの患者が機能的な自立を達成していた(修正 Rankin スケールスコアが 0~2 の患者の割合 71% 対 40%,P=0.01).死亡率と症候性脳内出血の発生率に,有意差は認められなかった.

結 論

大脳動脈近位部閉塞を有し,CT 灌流画像にて救済可能な組織が認められる脳梗塞患者において,ステント型血栓回収デバイス Solitaire FR を用いた早期の血栓除去により,アルテプラーゼ投与のみを行った場合と比較して,再灌流,早期の神経学的回復,機能的転帰が改善した.(オーストラリア国立保健医療研究委員会ほかから研究助成を受けた.EXTEND-IA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01492725,Australian New Zealand Clinical Trials Registry 登録番号 ACTRN12611000969965)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1009 - 18. )