敗血症救急診療プロトコール義務化後の期間における治療までの時間と死亡率
Time to Treatment and Mortality during Mandated Emergency Care for Sepsis
C.W. Seymour and Others
2013 年,ニューヨーク州は病院に,敗血症の早期同定と治療のためのプロトコールに従うことを要請した.しかし,敗血症治療が早いほど患者の転帰が改善するかどうかについては議論がある.
2014 年 4 月 1 日~2016 年 6 月 30 日の期間にニューヨーク州保健局に報告された敗血症/敗血症性ショックの患者から得たデータを検討した.患者は,救急部に到着後 6 時間以内に敗血症プロトコールを開始し,敗血症患者に対する 3 時間ケアバンドル(すなわち血液培養,広域抗菌薬投与,乳酸測定)のすべての項目を 12 時間以内に完了した.マルチレベルモデルを用いて,3 時間バンドル完了までの時間とリスク補正後の死亡率との関連を評価した.抗菌薬投与までの時間と,静脈内輸液の初回ボーラス投与完了までの時間についても検討した.
149 病院 49,331 例のうち,40,696 例(82.5%)が 3 時間バンドルを 3 時間以内に完了した.3 時間バンドル完了までの時間の中央値は 1.30 時間(四分位範囲 0.65~2.35),抗菌薬投与までの時間の中央値は 0.95 時間(四分位範囲 0.35~1.95),輸液のボーラス投与完了までの時間の中央値は 2.56 時間(四分位範囲 1.33~4.20)であった.3 時間バンドルを 12 時間以内に完了した患者では,完了までの時間が長いほどリスク補正後の院内死亡率が高いことに関連し(オッズ比 1.04/時間,95%信頼区間 [CI] 1.02~1.05,P<0.001),抗菌薬投与までの時間が長い場合についても同様であったが(オッズ比 1.04/時間,95% CI 1.03~1.06,P<0.001),静脈内輸液のボーラス投与完了までの時間が長い場合には関連は認められなかった(オッズ比 1.01/時間,95% CI 0.99~1.02,P=0.21).
敗血症の 3 時間ケアバンドル完了までの時間がより早いことと抗菌薬投与までの時間が早いことは,リスク補正後の院内死亡率が低いことに関連していたが,静脈内輸液の初回ボーラス投与完了までの時間が早いことは関連していなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)