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March 22, 2018 Vol. 378 No. 12

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再発または難治性の慢性リンパ性白血病に対するベネトクラクスとリツキシマブの併用
Venetoclax–Rituximab in Relapsed or Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia

J.F. Seymour and Others

背景

ベネトクラクス(venetoclax)は,病的に過剰発現し,慢性リンパ性白血病細胞の生存に重要な役割を果たす抗アポトーシス蛋白 BCL2 を阻害する.再発または難治性の慢性リンパ性白血病患者において,ベネトクラクスをリツキシマブと併用した場合の有効性を評価した.

方 法

無作為化非盲検第 3 相試験で,患者 389 例を,ベネトクラクスを(サイクル 1 の 1 日目から)最長 2 年間と,リツキシマブを最初の 6 ヵ月間投与する群(ベネトクラクス+リツキシマブ群)と,ベンダムスチンとリツキシマブを 6 ヵ月間投与する群(ベンダムスチン+リツキシマブ群)に無作為に割り付けた.試験デザインには,進行を認めたベンダムスチン+リツキシマブ群の患者の,ベネトクラクスとリツキシマブの併用へのクロスオーバーを含めなかった.主要評価項目は試験医師の評価による無増悪生存率とした.

結 果

追跡期間中央値 23.8 ヵ月の時点で,試験医師の評価による無増悪生存率は,ベネトクラクス+リツキシマブ群(194 例で進行または死亡が 32 件)のほうがベンダムスチン+リツキシマブ群(195 例で 114 件)よりも有意に高く,2 年無増悪生存率はそれぞれ 84.9%と 36.3%であった(進行または死亡のハザード比 0.17,95%信頼区間 [CI] 0.11~0.25,層別 log-rank 検定で P<0.001).染色体 17p 欠失患者のサブグループを含むすべての臨床的・生物学的サブグループで同程度の利益が認められた.すなわち染色体 17p 欠失患者での 2 年無増悪生存率は,ベネトクラクス+リツキシマブ群 81.5%に対し,ベンダムスチン+リツキシマブ群 27.8%であり(ハザード比 0.13,95% CI 0.05~0.29),非欠失患者での 2 年無増悪生存率は,85.9% に対し 41.0%であった(ハザード比 0.19,95% CI 0.12~0.32).独立判定委員会の評価による無増悪生存率とその他の副次的有効性評価項目の結果から,ベネトクラクス+リツキシマブによる利益は,ベンダムスチン+リツキシマブを上回ることが確認された.グレード 3 または 4 の好中球減少の発生率は,ベネトクラクス+リツキシマブ群のほうがベンダムスチン+リツキシマブ群よりも高かったが,グレード 3 または 4 の発熱性好中球減少の発生率と感染・寄生虫感染の発生率は,ベネトクラクス+リツキシマブ群のほうがベンダムスチン+リツキシマブ群よりも低かった.ベネトクラクス+リツキシマブ群におけるグレード 3 または 4 の腫瘍崩壊症候群の発生率は 3.1%(194 例中 6 例)であった.

結 論

再発または難治性の慢性リンパ性白血病患者のうち,ベネトクラクスとリツキシマブを併用した例では,ベンダムスチンとリツキシマブを併用した例と比較して無増悪生存率が有意に高かった.(Genentech 社,AbbVie 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02005471)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 1107 - 20. )