The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 10, 2018 Vol. 378 No. 19

米国の献血者におけるジカウイルス調査のための検査
Investigational Testing for Zika Virus among U.S. Blood Donors

P. Saá and Others

背景

ジカウイルス(ZIKV)感染は重症の転帰をとる可能性があり,ZIKV 流行地域から帰国した旅行者は無症状例が多く,血中で ZIKV 核酸が検出されたことや,輸血を介した ZIKV 感染の報告があることから,米国食品医薬品局は 2016 年,輸血を介した ZIKV 感染リスクを最小限に抑えるため,1 単位ずつの核酸検査を推奨すると発表した.

方 法

米国赤十字社が,核酸増幅法(TMA)を用いて献血血液中の ZIKV RNA を調査する目的でスクリーニングを開始した.反応を示した献血の確認には,TMA 再検査,探索的なミニプール TMA 検査,リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法,血清 IgM 抗体検査,赤血球 TMA などを用いた.血漿および赤血球中のウイルス量はエンドポイント TMA により推定した.陽性が確認された献血を差し止めるための費用を,2016 年 6 月~2017 年 9 月の 15 ヵ月間について算出した.

結 果

対象とした 4,325,889 の献血のうち,最初に 393,713 検体(9%)で 24,611 のミニプール TMA を行い,反応を示した検体はなかった.その後個別に TMA を行った 3,932,176 検体では,最初に 160 検体が反応を示し,9 検体で陽性が確認された(陽性率は全体で 480,654 検体につき 1 検体,陽性適中率 5.6%,特異度 99.997%).この 9 検体のうち,TMA 再検査で反応を示したのは 6 検体(67%)で,そのうち 4 検体は IgM 陰性であった.この 4 検体のうち,ミニプール TMA で検査しえた 3 検体はすべて反応を示した.陽性が確認された献血者の 2 例は居住地(フロリダ州)での伝播による感染であり,6 例は ZIKV 流行地域への渡航歴があり,1 例は ZIKV の試験ワクチンの接種を受けていた.赤血球中の ZIKV RNA 量は 40~800,000 コピー/mL で,献血後 154 日まで検出されたのに対し,血漿中の ZIKV RNA 量は 12~20,000 コピー/mL で,80 日まで検出された.今回の研究で企業から報告された検査費用と検査の検出率に基づくと,1 単位ずつの核酸検査で蚊媒介 ZIKV 感染を 8 症例検出するのにかかる費用は,ZIKV RNA 陽性献血 1 検体につき 530 万ドルであった.

結 論

米国の献血における ZIKV を検出するための個別の TMA によるスクリーニングは,費用が高く,検出率が低かった.ZIKV 陽性が確認された 9 検体のうち,IgM 陰性であったのは 4 検体のみであり,うちミニプール TMA で検査しえた 3 検体はすべて反応を示した.(米国赤十字社,Grifols Diagnostic Solutions 社から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 1778 - 88. )