軽症喘息に対する吸入ブデソニド・ホルモテロール配合剤の頓用
Inhaled Combined Budesonide–Formoterol as Needed in Mild Asthma
P.M. O'Byrne and Others
軽症喘息患者において,吸入ステロイド+即効性のあるβ2 刺激薬の頓用は,従来の治療戦略に代わる可能性がある.
12 歳以上の軽症喘息患者を対象に,52 週間の二重盲検試験を行った.患者を次の 3 つのレジメンのいずれかに無作為に割り付けた:プラセボ 1 日 2 回投与+テルブタリン(0.5 mg)頓用(テルブタリン群),プラセボ 1 日 2 回投与+ブデソニド・ホルモテロール配合剤(ブデソニド 200μg,ホルモテロール 6μg)頓用(ブデソニド・ホルモテロール群),ブデソニド(200μg)1 日 2 回投与+テルブタリン頓用(ブデソニド維持療法群).主要目的は,電子日誌上に記録された喘息コントロールが良好であった週の割合に関して,ブデソニド・ホルモテロール配合剤頓用のテルブタリン頓用に対する優越性を検討することであった.
3,849 例を無作為化し,3,836 例(テルブタリン群 1,277 例,ブデソニド・ホルモテロール群 1,277 例,ブデソニド維持療法群 1,282 例)を最大の解析対象集団と安全性データセットとした.各患者の喘息コントロールが良好であった週の割合の平均に関して,ブデソニド・ホルモテロール配合剤は,テルブタリンに対しては優越性を示したが(良好であった週の割合 34.4% 対 31.1%,オッズ比 1.14,95%信頼区間 [CI] 1.00~1.30,P=0.046),ブデソニド維持療法に対しては劣性を示した(34.4% 対 44.4%,オッズ比 0.64,95% CI 0.57~0.73).重度の増悪の年間発生率は,テルブタリン群で 0.20,ブデソニド・ホルモテロール群で 0.07,ブデソニド維持療法群で0.09 であり,ブデソニド・ホルモテロール群のテルブタリン群と比較した率比は 0.36(95% CI 0.27~0.49),ブデソニド維持療法群と比較した率比は 0.83(95% CI 0.59~1.16)であった.ブデソニド維持療法群の服薬アドヒアランス率は 78.9%であった.ブデソニド・ホルモテロール群における 1 日のステロイド定量噴霧吸入量の中央値(57μg)は,ブデソニド維持療法群(340μg)の 17%であった.
軽症喘息患者では,ブデソニド・ホルモテロール配合剤の頓用により,電子日誌上喘息コントロールが良好であった週に基づくと,テルブタリンの頓用と比較して喘息症状の良好なコントロールが得られたが,ブデソニド維持療法との比較では劣性を示した.ブデソニドを含む 2 つのレジメンの増悪発生率は同程度であり,テルブタリンレジメンよりも低かった.ブデソニド・ホルモテロール配合剤の頓用によるステロイド曝露量は,ブデソニド維持療法と比較して大幅に減少した.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.SYGMA 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02149199)