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May 17, 2018 Vol. 378 No. 20

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神経セロイドリポフスチン症 2 型に対するセルリポナーゼアルファの脳室内注入の試験
Study of Intraventricular Cerliponase Alfa for CLN2 Disease

A. Schulz and Others

背景

遺伝子組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ 1(セルリポナーゼアルファ[cerliponase alfa])は,小児で進行性認知症を引き起こすまれなライソゾーム病である神経セロイドリポフスチン症 2 型(CLN2)の治療のために開発された酵素補充療法である.

方 法

多施設共同非盲検試験で,3~16 歳の CLN2 患児に対するセルリポナーゼアルファの 2 週ごと脳室内注入の効果を評価した.投与量は 30 mg,100 mg,300 mg のいずれかで開始し,その後,全例に 300 mg を少なくとも 96 週間投与した.主要転帰は,CLN2 臨床評価尺度の運動領域と言語領域のスコア(合計 0~6 点;各領域で,0 点は機能喪失,3 点は機能正常を示す)が 2 点低下するまでの期間とし,歴史的対照 42 例の 2 点低下するまでの期間と比較した.また,運動・言語スコアの低下割合を,ベースラインから最終評価時までの 0 点を超えているデータを用いて求め,2 群間で比較した.

結 果

24 例を登録し,うち 23 例を有効性解析対象集団とした.運動・言語スコアが 2 点低下するまでの期間の中央値は,治療を行った患児では未到達であり,歴史的対照では 345 日であった.運動・言語スコアの 48 週間あたりの未補正低下割合の平均値(±SD)は,治療を行った患児では 0.27±0.35 点,歴史的対照 42 例では 2.12±0.98 点であった(差の平均 1.85,P<0.001).頻度の高かった有害事象は,痙攣,発熱,嘔吐,過敏反応,脳室内デバイスの故障などであった.2 例で,薬剤の注入に用いた脳室内デバイスに感染が起こり,抗菌薬投与とデバイス交換を要した.

結 論

CLN2 患児に対するセルリポナーゼアルファの脳室内注入により,歴史的対照と比較して運動・言語機能の低下が抑制された.重篤な有害事象として,脳室内デバイスの故障やデバイス関連感染症があった.(BioMarin Pharmaceutical 社ほかから研究助成を受けた.CLN2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01907087 およ
び NCT02485899)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 1898 - 907. )