転移性非扁平上皮非小細胞肺癌の一次治療におけるアテゾリズマブ
Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC
M.A. Socinski and Others
アテゾリズマブの癌細胞殺傷効果は,血管内皮増殖因子を介する免疫抑制をベバシズマブで阻害することで増強される可能性がある.この非盲検第 3 相試験では,化学療法歴のない転移性非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象にアテゾリズマブ,ベバシズマブ,化学療法の併用を評価した.
患者を,アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(ACP)群,ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(BCP)群,アテゾリズマブ+BCP(ABCP)群に無作為に割り付け,3 週ごとの投与を 4 サイクルまたは 6 サイクル行い,続いてアテゾリズマブ,ベバシズマブ,またはその両方による維持療法を行った.主要評価項目は,野生型遺伝子を有する intention-to-treat 集団の患者(WT 集団;EGFR/ALK 遺伝子変異陽性例は除く)と,腫瘍にエフェクター T 細胞(Teff)の遺伝子シグネチャーが高発現している WT 集団の患者(Teff 高発現 WT 集団)の両方における試験医師の評価による無増悪生存と,WT 集団における全生存の 2 つとした.最初に ABCP 群と BCP 群とを比較し,その後 ACP 群と BCP 群とを比較した.
WT 集団では,356 例が ABCP 群に,336 例が BCP 群に割り付けられた.無増悪生存期間中央値は ABCP 群のほうが BCP 群よりも長く(8.3 ヵ月 対 6.8 ヵ月,病勢進行または死亡のハザード比 0.62,95%信頼区間 [CI] 0.52~0.74,P<0.001),Teff 高発現 WT 集団では ABCP 群 11.3 ヵ月,BCP 群 6.8 ヵ月であった(ハザード比 0.51 [95% CI 0.38~0.68],P<0.001).無増悪生存期間は,intentionto-treat 集団全体(EGFR/ALK 遺伝子変異陽性例を含む)においても,プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)低発現または陰性例,Teff 遺伝子シグネチャー低発現例,肝転移例においても,ABCP 群のほうが BCP 群よりも長かった.WT 集団の全生存期間中央値は,ABCP 群のほうが BCP 群よりも長かった(19.2 ヵ月 対 14.7 ヵ月,死亡のハザード比 0.78,95% CI 0.64~0.96,P=0.02).ABCP の安全性プロファイルは,先行試験で報告されている各薬剤の安全性リスクと一致した.
転移性非扁平上皮 NSCLC 患者において,ベバシズマブ+化学療法にアテゾリズマブを追加することにより,無増悪生存と全生存が,PD-L1 発現や EGFR/ALK 遺伝子変異の状態を問わず有意に改善した.(F. Hoffmann–La Roche 社/Genentech 社から研究助成を受けた.IMpower150 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02366143)