The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 22, 2018 Vol. 378 No. 8

人工股関節置換術後または人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症予防のためのアスピリンとリバーロキサバンとの比較
Aspirin or Rivaroxaban for VTE Prophylaxis after Hip or Knee Arthroplasty

D.R. Anderson and Others

背景

複数の臨床試験とメタ解析から,人工股関節全置換術後または人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(近位深部静脈血栓症または肺塞栓症)の予防にアスピリンが有効である可能性が示唆されているが,退院後の予防についてアスピリンと直接作用型経口抗凝固薬を比較した研究はない.

方 法

人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術を受ける患者を対象に,多施設共同二重盲検無作為化比較試験を行った.全例にリバーロキサバン(10 mg)を 1 日 1 回,術後 5 日目まで経口投与したあと,リバーロキサバンを継続する群とアスピリン(81 mg/日)に切り替える群に無作為に割り付け,人工膝関節全置換術を受けた患者には 9 日間,人工股関節全置換術を受けた患者には 30 日間投与した.患者を,症候性静脈血栓塞栓症(主要有効性評価項目)と,大出血または大出血ではないが臨床的に重要な出血などの出血性合併症(主要安全性評価項目)について 90 日間追跡した.

結 果

3,424 例(人工股関節全置換術を受ける患者 1,804 例,人工膝関節全置換術を受ける患者 1,620 例)を登録した.静脈血栓塞栓症を発症したのは,アスピリン群 1,707 例中 11 例(0.64%),リバーロキサバン群 1,717 例中 12 例(0.70%)であった(差 0.06 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.55~0.66,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.84).出血性合併症のうち,大出血をきたしたのは,アスピリン群 8 例(0.47%)とリバーロキサバン群 5 例(0.29%)であった(差 0.18 パーセントポイント,95% CI -0.65~0.29,P=0.42).臨床的に重大な出血をきたしたのは,アスピリン群 22 例(1.29%)とリバーロキサバン群 17 例(0.99%)であった(差 0.30 パーセントポイント,95% CI -1.07~0.47,P=0.43).

結 論

人工股関節全置換術後または人工膝関節全置換術後にリバーロキサバンの予防的投与を 5 日間行った患者では,予防をアスピリンにより延長した場合とリバーロキサバンにより延長した場合とで,症候性静脈血栓塞栓症の予防に著明な差は認められなかった.(カナダ国立保健研究機構から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01720108)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 699 - 707. )