The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 8, 2018 Vol. 378 No. 10

小児の喘息増悪の予防を目的とした 5 倍量の吸入ステロイド
Quintupling Inhaled Glucocorticoids to Prevent Childhood Asthma Exacerbations

D.J. Jackson and Others

背景

喘息は,吸入ステロイド(糖質コルチコイド)などの喘息管理薬を定期的に使用していても,増悪が起こる頻度が高い.臨床医は通常,喘息コントロール悪化の初期徴候を認める期間に吸入ステロイドを増量する.しかし,小児におけるこの戦略の安全性と有効性に関するデータは限られている.

方 法

軽症~中等症の持続型喘息を有し,過去 1 年間に全身ステロイドで治療した喘息増悪を 1 回以上起こしている 5~11 歳の小児 254 例を対象に検討した.低用量吸入ステロイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル 44μg/吸入で,1 回 2 吸入を 1 日 2 回)による維持療法を 48 週間行ったあと,同量を継続する群(低用量群)と,喘息コントロール悪化の初期徴候を認める期間(「イエローゾーン」)に 5 倍量(フルチカゾン 220μg/吸入で,1 回 2 吸入を 1 日 2 回)を 7 日間行う群(高用量群)に無作為に割り付けた.治療は二重盲検法で行った.全身ステロイドで治療した重度の喘息増悪の発生率を主要評価項目とした.

結 果

全身ステロイドで治療した重度の喘息増悪の発生率に群間で有意差は認められなかった(高用量群 0.48 回/年と低用量群 0.37 回/年,相対的比率 1.3,95%信頼区間 0.8~2.1,P=0.30).初回増悪までの期間,治療失敗率,症状スコア,イエローゾーンでのアルブテロール(サルブタモール)使用にも,群間で有意差は認められなかった.ステロイド総曝露量は高用量群のほうが低用量群よりも 16%多かった.高用量群と低用量群の身長の伸びの差は -0.23 cm/年であった(P=0.06).

結 論

吸入ステロイドを毎日使用している軽症~中等症の持続型喘息の小児において,喘息コントロール悪化の初期徴候を認める期間にステロイドを 5 倍に増量しても,重度の喘息増悪の発生率は低下せず,他の喘息転帰も改善されなかった.また,身長の伸びの減少と関連する可能性がある.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.STICS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02066129)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 891 - 901. )