The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 8, 2018 Vol. 378 No. 10

B 型肝炎の周産期母子感染予防のためのテノホビルとプラセボとの比較
Tenofovir versus Placebo to Prevent Perinatal Transmission of Hepatitis B

G. Jourdain and Others

背景

B 型肝炎ウイルス(HBV)のウイルス量が高値の妊娠女性では,その出生児に B 型肝炎免疫グロブリン(HB グロブリン)を投与しても,感染が伝播するリスクがある.

方 法

タイで行われた多施設共同二重盲検臨床試験で,B 型肝炎 e 抗原(HBeAg)陽性でアラニンアミノトランスフェラーゼ値が 60 IU/L 以下の妊娠女性を,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)群とプラセボ群に無作為に割り付け,妊娠 28 週から産後 2 ヵ月まで投与した.児には,出生時に HB グロブリンを投与し,出生時と生後 1,2,4,6 ヵ月の時点で B 型肝炎ワクチン(HB ワクチン)を接種した.生後 6 ヵ月の時点での児の B 型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性を主要評価項目とし,HBV DNA 量により確認した.母子感染率の少なくとも 9 パーセントポイントの差(予想感染率 TDF 群 3% 対 プラセボ群 12%)を 90%の検出力で検出するために必要なサンプルサイズを 328 例と算出した.

結 果

2013 年 1 月~2015 年 8 月に 331 例を登録し,168 例を TDF 群に,163 例をプラセボ群に無作為に割り付けた.登録時の妊娠週数中央値は 28.3 週であり,HBV DNA 量中央値は 8.0 log10 IU/mLであった.出産 322 件(参加者の 97%)のうち,単胎出産は 319 件,双胎出産は 2 件,死産は 1 件であった.出生から HB グロブリン投与までの時間の中央値は 1.3 時間であり,出生から HB ワクチン接種までの時間の中央値は 1.2 時間であった.主要解析において,HBV に感染した児は TDF 群の 147 例にはいなかった(0%,95%信頼区間 [CI] 0~2)のに対し,プラセボ群では 147 例中 3 例(2%,95% CI 0~6)であった(P=0.12).有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.試験レジメン中止後にアラニンアミノトランスフェラーゼ値が 300 IU/L を超えた母親の割合は,TDF 群 6%,プラセボ群 3%であった(P=0.29).

結 論

HBeAg 陽性の母親から出生した児に対する HB グロブリン投与と HB ワクチン接種により母子感染率が抑えられている状況では,さらに母親に TDF を投与しても母子感染率の有意な低下は認められなかった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01745822)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 911 - 23. )