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September 20, 2018 Vol. 379 No. 12

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過体重または肥満の患者におけるロルカセリンの心血管安全性
Cardiovascular Safety of Lorcaserin in Overweight or Obese Patients

E.A. Bohula and Others

背景

食欲を調整する選択的セロトニン 2C 受容体作動薬ロルカセリン(lorcaserin)は,過体重または肥満の患者の体重管理における有効性が証明されている.ロルカセリンの心血管安全性と有効性は明らかにされていない.

方 法

アテローム硬化性心血管疾患または複数の心血管危険因子を有する過体重・肥満患者 12,000 例を,ロルカセリン(10 mg を 1 日 2 回)群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要安全性転帰である主要心血管イベント(心血管死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合)の非劣性を 1.4 のマージンで排除するため中間解析で評価した.非劣性基準を満たした場合,試験終了時に,心血管系の主要有効性転帰(主要心血管イベント,心不全,不安定狭心症による入院,冠血行再建の複合 [拡大主要心血管イベント])について優越性を評価した.

結 果

1 年の時点で,5%以上の体重減少がロルカセリン群の 5,135 例中 1,986 例(38.7%),プラセボ群の 5,083 例中 883 例(17.4%)で認められた(オッズ比 3.01,95%信頼区間 [CI] 2.74~3.30,P<0.001).ロルカセリン群の患者では,プラセボ群の患者と比較して,心臓危険因子(血圧,心拍数,血糖コントロール,脂質など)に関する値が若干良好であった.中央値 3.3 年の追跡期間中の主要安全性転帰の発生率は,ロルカセリン群で 2.0%/年,プラセボ群で 2.1%/年であり(ハザード比 0.99,95% CI 0.85~1.14,非劣性の P<0.001),拡大主要心血管イベントの発生率は,それぞれ 4.1%/年,4.2%/年であった(ハザード比 0.97,95% CI 0.87~1.07,P=0.55).とくに関心のあった有害事象の頻度は低く,有害事象の発現率は,ロルカセリン群で重篤な低血糖を起こした患者が多かったこと(13 例 対 4 例,P=0.04)を除き,2 群でおおむね同程度であった.

結 論

過体重または肥満の患者の高リスク集団において,ロルカセリンは,プラセボと比較して主要心血管イベントの発生率が高くなることなく持続的な体重減少を促進した.(Eisai 社から研究助成を受けた.CAMELLIA–TIMI 61 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02019264)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1107 - 17. )