The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 18, 2018 Vol. 379 No. 16

糖尿病患者における一次予防のためのアスピリンの効果
Effects of Aspirin for Primary Prevention in Persons with Diabetes Mellitus

The ASCEND Study Collaborative Group

背景

糖尿病は,心血管イベントリスクが高いことに関連している.アスピリンの使用により,閉塞性血管イベントリスクは低下するが,出血リスクは上昇する.糖尿病患者の初回心血管イベントの予防におけるその利益と害とのバランスは明らかにされていない.

方 法

糖尿病を有するが明らかな心血管疾患を有しない成人を,アスピリン 100 mg/日を投与する群とマッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性転帰は,初回の重篤な血管イベント(心筋梗塞,脳梗塞または一過性脳虚血発作,あらゆる血管系の原因による死亡のいずれかで,確認された頭蓋内出血は除く)とした.主要安全性転帰は,初回の重大な出血イベント(頭蓋内出血,視力を脅かす眼出血イベント,消化管出血,そのほかの重篤な出血)とした.副次的転帰は消化管癌とした.

結 果

15,480 例が無作為化された.平均追跡期間 7.4 年間に重篤な血管イベントが発生した割合は,アスピリン群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった(658 例 [8.5%] 対 743 例 [9.6%],率比 0.88,95%信頼区間 [CI] 0.79~0.97,P=0.01).一方,重大な出血イベントはアスピリン群では 314 例(4.1%)に発生したのに対し,プラセボ群では 245 例(3.2%)に発生し(率比 1.29,95% CI 1.09~1.52,P=0.003),超過の大部分は消化管出血とそのほかの頭蓋外出血であった.アスピリン群とプラセボ群とのあいだで,消化管癌の発生(それぞれ 157 例 [2.0%] と 158 例 [2.0%])や,すべての癌の発生(897 例[11.6%] と 887 例 [11.5%])に有意差は認められなかった.これらの転帰については長期追跡を行う予定である.

結 論

試験登録時に糖尿病を有していたが明らかな心血管疾患を有しなかった患者では,アスピリンの使用により重篤な血管イベントが予防されたが,重大な出血イベントも引き起こされた.絶対利益は,出血の害によって大半が相殺された.(英国心臓財団ほかから研究助成を受けた.ASCEND 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN60635500,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00135226)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1529 - 39. )