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July 19, 2018 Vol. 379 No. 3

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鎌状赤血球症に対する L-グルタミンの第 3 相試験
A Phase 3 Trial of L-Glutamine in Sickle Cell Disease

Y. Niihara and Others

背景

酸化ストレスは鎌状赤血球症の複雑な病態生理に寄与している.医薬品グレードの L-グルタミン(USAN,グルタミン)による経口療法は,鎌状赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの比率を上昇させることが示されており,これにより酸化ストレスがおそらく減少し,鎌状赤血球症に関連する疼痛の発生が抑制される可能性がある.

方 法

多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検第 3 相試験で,鎌状赤血球貧血症または鎌状赤血球- β0 サラセミアを有し,過去 1 年間に疼痛発作を 2 回以上起こした患者を対象に,医薬品グレードの L-グルタミン(1 回 0.3 g/kg 体重)1 日 2 回経口投与の疼痛発作抑制に対する効果を,プラセボと比較検討した.ハイドロキシウレアをスクリーニング前の少なくとも 3 ヵ月間,安定用量で服用していた患者は,48 週間の治療期間中も服用を継続した.

結 果

230 例(5~58 歳,女性 53.9%)を,L-グルタミンを投与する群(152 例)とプラセボを投与する群(78 例)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.L-グルタミン群の患者は,プラセボ群の患者と比較して疼痛発作の発生回数が有意に少なく(P=0.005),中央値は L-グルタミン群 3.0 回,プラセボ群 4.0 回であった.L-グルタミン群では,プラセボ群と比較して入院回数が少なく(P=0.005),中央値は L-グルタミン群 2.0 回,プラセボ群 3.0 回であった.両群とも患者の 2/3 がハイドロキシウレアを同時に服用した.低グレードの吐気,非心臓性胸痛,疲労,筋骨格痛の頻度は,L-グルタミン群のほうがプラセボ群よりも高かった.

結 論

鎌状赤血球貧血症の小児と成人では,ハイドロキシウレア併用または非併用下で L-グルタミンによる経口療法を受けた患者のほうが,ハイドロキシウレア併用または非併用下でプラセボの投与を受けた患者よりも,48 週間における疼痛発作回数の中央値が低かった.(Emmaus Medical 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01179217)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 226 - 35. )