The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 19, 2018 Vol. 379 No. 3

下気道感染に対するプロカルシトニンに基づく抗菌薬の使用
Procalcitonin-Guided Use of Antibiotics for Lower Respiratory Tract Infection

D.T. Huang and Others

背景

プロカルシトニンに基づく抗菌薬の使用が,下気道感染が疑われる症例の治療に及ぼす影響は明らかではない.

方 法

肺炎治療の質改善方策の遵守率が高い米国の 14 病院において,臨床医に米国内で下気道感染の治療に推奨されている診療と,プロカルシトニン検査の解釈についてガイダンスを行った.その後,下気道感染疑いで救急部を受診した患者で,治療にあたった医師が抗菌薬治療が適応かどうか確信がもてなかった例を,リアルタイムでの初回(患者が入院した場合は連続)プロカルシトニン検査結果と,4 段階のプロカルシトニン値に基づき段階的な抗菌薬の使用を推奨するガイドラインを担当医に提供するプロカルシトニン群と,通常治療群のいずれかに無作為に割り付けた.プロカルシトニン群では,通常治療群と比較して,登録後 30 日以内の抗菌薬総投与日数が少なく,有害転帰を起こした患者の割合は 4.5 パーセントポイントを超えて高くないという仮説を立てた.

結 果

1,656 例を最終解析コホートの対象とし(826 例をプロカルシトニン群,830 例を通常治療群に無作為に割り付けた),うち 782 例(47.2%)が入院し,984 例(59.4%)が 30 日以内に抗菌薬投与を受けた.担当医がプロカルシトニン検査結果を受け取ったのは,プロカルシトニン群 826 例中 792 例(95.9%)(検体採取から検査結果入手までの時間の中央値 77 分)と,通常治療群 830 例中 18 例(2.2%)であった.両群とも,プロカルシトニン値の段階は,救急部での抗菌薬処方の判断と関連していた.プロカルシトニン群と通常治療群とで,30 日以内の抗菌薬投与日数(平均はそれぞれ 4.2 日と 4.3 日,差-0.05 日,95%信頼区間 [CI] -0.6~0.5,P=0.87)や,30 日以内に有害転帰を起こした患者の割合(11.7% [96 例] と 13.1% [109 例],差-1.5 パーセントポイント,95% CI -4.6~1.7,非劣性の P<0.001)に有意差は認められなかった.

結 論

救急部と病院所属の臨床医に,プロカルシトニン検査結果を解釈の説明書とともに提供しても,通常治療と比較して,下気道感染が疑われる患者での抗菌薬使用は減少しなかった.(米国国立総合医科学研究所から研究助成を受けた.ProACT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02130986)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 236 - 49. )