The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 20, 2018 Vol. 379 No. 25

1990 年と 2016 年の地球規模,地理区分,国別の脳卒中の生涯リスク
Global, Regional, and Country-Specific Lifetime Risks of Stroke, 1990 and 2016

The GBD 2016 Lifetime Risk of Stroke Collaborators

背景

脳卒中の生涯リスクが算出されているのは,限られた数の一部の人口集団のみである.われわれは,主要疾患の有病率に関する包括的な研究のデータを用いて,地理区分,国,地球規模で,脳卒中の生涯リスクの推定を試みた.

方 法

世界の疾病負担(GBD)研究 2016 の脳卒中発症率の推定値と,脳卒中以外の原因による死亡の競合リスクを用いて,25 歳以上の成人における初回の脳卒中,脳梗塞,脳出血の累積生涯リスクを算出した.1990 年と 2016 年の生涯リスクの推定値を比較した.国を,GBD 研究で用いられた社会人口指数(SDI)の五分位に分類し,五分位間でリスクを比較した.比較には,点推定値と,推定値の 2.5 パーセンタイルと 97.5 パーセンタイルに相当する不確実区間を用いた.

結 果

地球規模での 25 歳以降の脳卒中の推定生涯リスクは 24.9%(95%不確実区間 23.5~26.2)であり,男性で 24.7%(95%不確実区間 23.3~26.0),女性で 25.1%(95%不確実区間 23.7~26.5)であった.脳梗塞のリスクは 18.3%であり,脳出血のリスクは 8.2%であった.SDI が高い国,中の上の国,低い国における脳卒中の推定生涯リスクはそれぞれ 23.5%,31.1%(最高リスク),13.2%(最低リスク)であり,この分類のあいだで 95%不確実区間の重複はなかった.GBD で用いられた地理区分別にみると,脳卒中の推定生涯リスクがとくに高かったのは東アジア(38.8%),中欧(31.7%),東欧(31.6%)であり,もっとも低かったのはサハラ以南の東アフリカ(11.8%)であった.地球規模での脳卒中の平均生涯リスクは,1990 年の 22.8%から 2016 年には 24.9%に上昇し,相対的に 8.9%(95%不確実区間 6.2~11.5)上昇した.この計算では脳卒中以外の原因による死亡の競合リスクを考慮した.

結 論

2016 年の地球規模での 25 歳以降の脳卒中の生涯リスクは男女とも約 25%であった.脳卒中の生涯リスクには地理的な差があり,とくにリスクが高かったのは東アジア,中欧,東欧であった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2429 - 37. )