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July 26, 2018 Vol. 379 No. 4

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デング血清反応がデングワクチンの安全性と有効性に及ぼす影響
Effect of Dengue Serostatus on Dengue Vaccine Safety and Efficacy

S. Sridhar and Others

背景

4 価デングワクチン(CYD-TDV)のいくつかの有効性試験では,2~5 歳のワクチン接種者でデング熱による超過入院が認められた.観察されたデング血清反応に基づく正確なリスク推定は,ベースラインで収集された検体数が限られていたため確認することができなかった.われわれは抗デング非構造蛋白 1(NS1)IgG 酵素免疫測定法を開発し,安全性と有効性の事後解析で血清反応を推測するために 13 ヵ月の時点での検体を用いた.

方 法

症例コホート研究で,3 件の有効性試験のデータを再解析した.主解析には,50%プラーク減少中和試験(PRNT50)で(ベースライン値が入手可能であった場合)測定された,または(ベースライン値が欠測であった場合)代入された抗体価に基づいて決定したベースライン血清反応を用いた.代入は 13 ヵ月の抗 NS1 測定結果などの共変量を用いて行われた.デング血清反応に従って,ウイルス学的に確認されたデング(VCD)による入院,重症 VCD,症候性 VCD のリスクを,重み付き Cox 回帰と標的最小損失ベース推定により推定した.

結 果

2~16 歳のデング血清陰性者では,VCD による 5 年累積入院率はワクチン接種者で 3.06%,対照者で 1.87%であり,データカットオフまでのハザード比(ワクチン 対 対照)は 1.75(95%信頼区間 [CI] 1.14~2.70)であった.9~16 歳のデング血清陰性者では,VCD による累積入院率はワクチン接種者で 1.57%,対照者で 1.09%であり,ハザード比は 1.41(95% CI 0.74~2.68)であった.重症 VCD についても同様に,血清陰性のワクチン接種者のほうが血清陰性対照者よりもリスクが高い傾向が認められた.2~16 歳と 9~16 歳のデング血清陽性者では,VCD によるそれぞれの累積入院率は,ワクチン接種者で 0.75%と 0.38%,対照者で 2.47%と 1.88%であり,ハザード比は 0.32(95% CI 0.23~0.45)と 0.21(95% CI 0.14~0.31)であった.重症 VCD に対するリスクも,血清陽性のワクチン接種者のほうが血清陽性対照者よりも低かった.

結 論

CYD-TDV は,ワクチン接種前にデングに曝露した人において,5 年間の重症 VCD と VCD による入院に対する防御効果を示したが,デングに曝露したことのないワクチン接種者では,これらの転帰のリスクがより高いというエビデンスが得られた.(Sanofi Pasteur 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00842530,NCT01983553,NCT01373281,NCT01374516)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 327 - 40. )